- アンバーデータによれば、デリビット上場のビットコインオプションのうち権利行使価格が9万ドルと10万ドルのものがディーラーに売却された。
- 価格がこれらのレベルに達した場合、上昇が勢いを失う可能性がある。
ビットコイン(BTC)の現在進行中の価格上昇が無敵のオーラを放つ中、9万ドル(約1395万円、1ドル155円換算)を超える上昇を鈍化させるおそれのある一つの力が存在し、その価格レベルの上でビットコインがレンジ内に留まる可能性がある。
その力とは、マーケットメーカーやディーラーだ。これらは、注文板に流動性を提供し、ビッド(買値)・アスク(売値)間のスプレッドから利益を得ながら、常に市場中立的なエクスポージャーを維持しようと努める存在だ。
暗号資産(仮想通貨)取引所デリビット(Deribit)でビットコインオプション市場を形成しているマーケットメーカーは、現在権利行使価格が9万ドルと10万ドルのオプションで重要なポジティブガンマのエクスポージャーを持っているようだ。簡単に言えば、これはトレーダーや投資家がこれらの水準でオプションを売却しており、常に反対ポジションを持つマーケットメーカーが大量のロングポジションを抱えていることを意味する。
マーケットメーカーがロング、つまりポジティブガンマのエクスポージャーを持つ場合、自身のネットエクスポージャーの方向を中立に保つために、原資産の価格が下落しているときに買い、上昇しているときに売る傾向がある。このヘッジはボラティリティを抑制する役割を果たす。
ビットコインの場合、他の条件が同じであると仮定すると、マーケットメーカーは9万ドルから10万ドルの間で市場の方向性に逆らって取引し、価格をレンジ内に保つ可能性が高いことを意味する。
アンバーデータのデリバティブ担当ディレクターであるグレッグ・マガディーニ(Greg Magadini)氏は、「11月29日と12月27日が期限の9万ドルまでのオプションの機会を所有(購入)しているトレーダーが多く見られる。しかし、9万ドルから10万ドル超えの範囲はディーラーに売却されている」と指摘した。
マガディーニ氏は、「市場がそこまで到達した場合、センチメントがさらに強気に転じない限り、価格が苦戦する可能性がある」と述べた。
オプションは、購入者に対して将来の特定の日に予め定められた価格で原資産を売買する権利を与えるが、義務は負わせないデリバティブ契約だ。コールオプションは買う権利を与え、プットオプションは売る権利を与える。
ガンマは、ギリシャ文字で表されるオプションの重要な用語の一つで、原資産の価格が動いたときにオプションの価格がどれだけ加速するかを示すもの。ネットガンマエクスポージャーによって、オプションのマーケットメーカーが全体的なエクスポージャーを中立に保つためにどれだけ積極的に原資産を売買する必要があるかが決まる。
CoinDeskのデータによると、ビットコインは本記事執筆時点で8万2000ドル(約1271万円)をわずかに上回る水準で取引されており、9万ドルの大台まであと8%だ。
|翻訳・編集:林理南
|画像:qimono/Pixabay
|原文:Why Bitcoin’s Record Price Rally May Be Choked Between $90K and $100K?