- ビットコイン保有高が1ビットコインに満たない投資家は、過去2カ月と同様にビットコインを買い増している。
- 一方、1万ビットコイン以上を保有する「ザトウクジラ」は、引き続きビットコインを売却し続けている。
- 長期保有者は、概ね今回の上昇に動じることなく、ビットコインを保有し続け、さらなる価格高騰を期待している。
ビットコイン(BTC)のブロックチェーン・データを見ると、クジラ(大口保有者)が「上昇したら売る(sell on rise)」戦略を貫く一方で、小口保有者がビットコインを買い増している。
ビットコインは12日朝に一時9万ドルを超えたが、その後、8万7400ドル付近まで下落し、当記事執筆時点では1週間で27%上昇した。
全体的に見ると、最近の買い圧は主に米大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase)から生じている。コインベースは米国の機関投資家の動きを表す存在と見なされることが多い。しかし、詳細なデータを見ると、しばしば「エビ(shrimps)」と呼ばれる小口保有者が、現在進行中の価格上昇を追いかけ、ビットコインを買い増している。
「エビ」は経験豊富な投資家に成長
Glassnodeのデータ(上図)は、「エビ」と呼ばれる1ビットコイン未満の保有者から、「ザトウクジラ」と呼ばれる1万ビットコイン以上の保有者までのグループを詳細に分析している。「1(青)」はグループがビットコインを買い増ししていることを示し、「0(赤)」は売却を表す。
図をよく見ると、ザトウクジラ(>10k)を除くすべてのグループは、9月後半以降、ビットコインを買い増していることがわかる。買い増しは、ビットコインの上昇傾向と一致している。ビットコインは、9月の約5万5000ドルから現在は9万ドルに迫るまで上昇している。
データは、クジラ(大口保有者)はエコシステムの「スマート・マネー」、つまり知識や経験が豊富な投資家であるという通説に疑問を投げかける。今回、クジラが価格上昇局面で売却している一方、個人投資家は買い増している。
CoinDeskによる別の調査も、個人投資家が時間を経て、スマート・マネーに進化していることを示している。
購入が供給を上回る
マイニング会社、取引所、個人投資家を含む全グループの30日間のデータを集計すると、2万6000ビットコインが購入されている。需要は9月以降、一貫して供給を上回っている。
長期保有者 vs 短期保有者
Glassnodeは、ビットコインを155日以上保有している投資家を長期保有者(LTH)と定義している。通常、LTHはビットコインが当時の史上最高値を記録した2017年と2021年のように、価格の上昇局面でビットコインを売却し、底値で買い増している。
しかし今回、LTHは保有し続けており、強気サインとなっている。LTHはさらなる価格上昇を期待しているようだ。
現在、LTHは流通しているビットコインの78%にあたる約1500万ビットコインを保有。この1カ月で、保有高は3%ほど減少したが、2017年や2021年には20%減少した。
短期保有者(STH)、つまりビットコイン保有が155日未満の投資家、またビットコインが10%上昇した11日などにビットコインを購入する傾向にある人々は、その逆のことが言える。
STHの保有高は一時的に上昇したものの、過去最低に近い水準にある。過去の強気相場では、STHは供給量の35%または50%を保有していた。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:グループごとの買い増し傾向(Glassnode)
|原文:Bitcoin ‘Shrimps’ Buying the Historic Rally as Whales Offload: Van Straten