共和党系の州司法長官ら、SECを提訴──暗号資産に対する執行措置は違法と主張

共和党系の州司法長官のグループとDeFi Education Fund(DEF)は、SEC(米証券取引委員会)とその委員5人を提訴、SECは暗号資産(仮想通貨)取引所に対する執行措置を講じるにあたり、その権限を逸脱していると主張している。

現地時間14日午後、ケンタッキー州東部地区連邦地方裁判所に提出された訴状は、SECによる執行措置の差し止めを求め、「SECの『暗号資産政策』は『違法な行政措置』であり、行政手続法に違反している」と述べている。

「SECの規制権限に関する広範な主張は支持できない。ここで問題となっているデジタル資産は、単なる資産であり、連邦証券法の対象となる投資契約ではない」(訴状)

SECの暗号資産に対するアプローチは、業界をそれぞれ独自に規制する州の権利を侵害していると訴状は記している。

また、連邦機関は議会から直接的に割り当てられていない問題について訴訟を起こすべきではないとする最高裁判所の判例にも言及している。他の連邦裁判所は、暗号資産企業に対するSECの訴えへの同原則の適用を却下している。

バイデン政権下でSEC委員長を務めているゲイリー・ゲンスラー氏は退任し、2期目の政権に就くトランプ氏は業界に友好的な後任者を指名すると見られている。

行き過ぎた行為

DEFの最高経営責任者(CEO)ミラー・ホワイトハウス・レヴィーン(Miller Whitehouse-Levine)氏は、この訴訟はSECの「行き過ぎた行為」をターゲットにしたものと声明で述べた。

「DeFi、そして暗号資産全般は、金融サービスとデジタル・エコノミーをより利用しやすく、効率的で、相互運用性が高く、信頼性があり、消費者重視なものにしようとしている。SECは現在、これを実現するうえで障壁となっている」

SECの広報担当者は「訴訟についてはコメントしない」と述べた。州の証券規制当局は、暗号資産市場における不正行為の発見と起訴に向けた取り組みにおいて、SECの強力なパートナーとなっている。

14日朝、ゲンスラー委員長は、SECの暗号資産に対するアプローチについて簡単に触れ、トランプ大統領(当時)が指名した前任者のジェイ・クレイトン(Jay Clayton)氏の方針を踏襲していると述べた。

「暗号資産は長年にわたって投資家が大きな被害を受けてきた分野だ。さらに、投機的な投資や違法行為への使用の可能性はさておき、暗号資産の大半は持続可能なユースケースをまだ証明できていない」とゲンスラー委員長は述べた。

一方、ケンタッキー州司法長官のラッセル・コールマン(Russell Coleman)氏は、この訴訟は「連邦政府がケンタッキー州民のウォレットに手を伸ばすことを阻止」することを目的としていると述べた。

「ケンタッキー州民は年齢や背景を問わず、金融の自由を確立するために暗号資産にアクセスし、歴史的なインフレから身を守ることを切望している。この活気ある新しいデジタル産業を奨励するのではなく、バイデン-ハリス政権は暗号資産を違法に取り締まっている」

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ゲンスラーSEC委員長(Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:Republican State AGs and DeFi Lobby Sue SEC Over Crypto Enforcement Actions