- イーサリアムのオプションに基づく確率密度関数では、12月末までに年初来高値の4000ドルを試す可能性はわずか10%であることが示されている。
- イーサリアムはファンダメンタルズの弱さという逆風に直面している。
かつてビットコイン(BTC)のゴールド(金)に対してシルバー(銀)のように輝く存在と見られていたイーサリアム(ETH)は、今年に入ってから36%しか上昇しておらず、BTCの109%という目覚ましい急騰に大きく遅れをとっている。
ETHに対する投資家の嫌悪感は強く、現在の市場価格3100ドルは、この暗号資産(仮想通貨)は2021年の過去最高値4832ドルを大きく下回っており、一方でBTCは9万ドルを超える史上最高値付近で取引されている。
このパフォーマンス不足により、ETHはゴールドに追随しようと苦戦するパラジウムのような状況となっているが、アンバーデータ(Amberdata)による新たな調査では、ETHが第1四半期の高値である約4000ドルを上回る可能性はわずか10%であることが示されており、トレーダーがBTCが10万ドルを超える新たな高値を付けると予想していることから、この低迷は年末まで続くと予想されている。
このチャートは、確率密度関数(probability density function:PDF)と累積分布関数(cumulative distribution function:CDF)を示しており、さまざまな価格帯でイーサリアムが取引される確率を、複数の時間枠で強調している。このグラフは大手暗号資産オプション取引所であるデリビット(Deribit)でのイーサリアムオプション取引から導き出されている。
特定の価格でピークが高いほど、その価格に達する確率が高いことを示し、その逆も同様だ。
記事執筆時点では、トレーダーらは12月27日の期限までにイーサリアムが4000ドルを上回る可能性をわずか10%と見ていた。これは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領の下で分散型金融(DeFi)やその他の暗号資産部門に対する規制が転換されるという期待が、いわゆるDeFiコインには影響を与えているものの、ETHへの投資家の関心を喚起するには至っていないことを示す兆候だ。
Amberdataは、ETHの暗い見通しをファンダメンタルズの弱さに起因するものとしている。
「ETHは深刻な逆風に直面している。『健全な通貨』(取引手数料の焼却によるデフレ的供給)という価値提案が、ほぼすべてのDeFi取引がイーサリアムのレイヤー1自体ではなくレイヤー2で実行されているため、インフレ的供給に反転した。私はそれが価格を大幅に引き下げていると考えている」と、アンバーデータのデリバティブ担当ディレクターであるグレッグ・マガディーニ(Greg Magadini)氏は顧客向けのニュースレターで述べた。
ただし、ビットコインの継続的な上昇トレンドが加速する可能性があるため、イーサリアムのファンダメンタルズとは関係なく、BTCに対する相対的なパフォーマンスの低さを維持しながら、ETHは最終的に4000ドルの水準を上回る可能性があることには留意すべきだろう。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Ethereum’s Ether Has Fallen Out of Investor Favor and How