ブロックチェーンに沸く中国で上場廃止も——目を光らせる規制当局

磁器・教育事業を手掛ける無名企業の株が先週、最も人気のブロックチェーン関連株の一つになった後、同社は中国の規制当局によって捜査を受けている。

中国の習近平国家主席がブロックチェーン技術を賞賛した後、先週5日間連続で株価が高騰した広東長城グループ(Guangdong Great Wall Group)は2019年11月4日、中国証券監督管理委員会(CSRC)の捜査を受けていると発表した。

政府が中国のブロックチェーン、フィンテック企業への「理性的」な投資を求める中、今回の捜査が行われている。

1996年に独創的な磁器企業として創業された長城グループであるが、2018年の年次報告書では6つのブロックチェーンプロジェクトについての詳細を公表している。しかし捜査当局は、先日の株価の高騰に鑑みて、このようなブロックチェーンの取り組みが本物なのかを疑問視している。

深セン証券取引所に対する同社の提出書類によれば、捜査当局が情報開示規制違反の可能性を捜査している。

「中華人民共和国の証券法に基づいて、CSRCの委員会が同社への捜査を開始するよう決定した」と書類には記されている。

別の提出書類によれば、同社は10月28日、ナスダック(NASDAQ)型の深セン取引所の市場であるチャイネクスト(ChiNext)から、事業がどのようにブロックチェーン業界に関連するかの説明を求める要請を受けていた。

書類によればチャイネクストは、2018年の年次報告書に記載の50のプロジェクトのうち、同社がブロックチェーンに関連すると主張した6つの研究開発プロジェクトに関してより詳細な説明を要求した。

チャイネクストは、プロジェクトの背景、期間、投資の額、研究チームや具体的なユースケースなどの詳細を望んでいる。

さらに、昨年および2019年の第3四半期にかけて、プロジェクト由来の利益がどれほどであったか、またプロジェクトによる利益と売上が、どれだけ同社全体の利益と売上に影響を与えたかについても問われている。

書類における同社の回答によれば、6つのうち2つのプロジェクトは同社のインターネット・トレーニング子会社である智游教育(Zhiyou Education)によって進められており、開発途中のOKエンジェル・コイン(OK Angel Coin)ソフトウェアに基づいた仮想通貨エコシステムの構築を計画している。

「2つのプロジェクトは弊社の売上や利益にはまだ影響を及ぼしていない」と同社は語った。

残り4つのプロジェクトは最近買収された教育部門エメラルド・エデュケーション・グループ(Emerald Education Group)のものである。

「エメラルド・エデュケーションへの支配を失った」と、広東長城グループは6月に深セン証券取引所に提出した書類で述べ、次のように続けた。

「同子会社は、財務諸表や報告書を我々にはもう提供していない。そのため、エメラルド・エデュケーションがどのようにブロックチェーン技術に関連しているかを説明することはできない」

広東長城グループは8月の株式移転に関して、エメラルド・エデュケーション・グループを相手に訴訟を起こしている。

「エメラルドの主たる経営陣からの抵抗により、採用と資金という点において意思決定プロセスを管理することができていない」と同社は書類の中で説明している。

広東長城グループの半期報告書や四半期報告書には、エメラルドの財務諸表は含まれていない。

エメラルドの財務諸表を含むことができていないために、連続する2会計年度の年次報告書を提出できない場合には、深セン証券取引所は同グループの株を取り扱い停止にする可能性もある。

同グループの時価総額は11月4日時点で26億2700万人民元(約408億6600万円)である。同社はコメントの求めに対して、直ちに応じることはなかった。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Chinese flags image via Shutterstock 
原文:Chinese Regulator Investigates Firm’s Blockchain Efforts Amid Stock Surge