仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)の法務トップは、アメリカのデジタル通貨の開発では民間部門がリーダーシップを発揮するよう呼びかけた。
規制は不要
ブライアン・ブルックス(Brian Brooks)氏は2019年11月4日(現地時間)に公開されたフォーチュン(Fortune)のエッセイで、議論の的となっているデジタル米ドルの開発は民間企業がベストポジションにあり、政府は距離を置いて民間企業に任せ、基盤となるブロックチェーンの規制はほぼ何も行うべきではないと主張した。
「前に進むためのベストな道は、我が国の素晴らしいイノベーション能力を生かし、また金融システムにおける民間によるイノベーションのために大きなガイドラインを設定するという政府の歴史的な役割を示すこと」とブルックス氏は述べた。
「政府は民間の商業銀行、投資銀行が利用するテクノロジーを指示する必要はないのと同様に、ステーブルコイン発行者のブロックチェーン・ポリシーをコントロールする必要はない」
本質的にブルックス氏は、非公式な官民のパートナーシップを描いている。そこでは、民間企業は金融統制を連邦政府に任せ、一方、政府は技術的なインフラの運用を民間企業に任せる。
要するに、民間部門はテクノロジーを構築すべきで、公的部門は金融政策を策定すべき。
リブラとは違うアプローチ
ブルックス氏のアプローチは、フェイスブック(Facebook)のリブラ(Libra)プロジェクトとは違う。
アメリカの議員も規制当局も同様に、スイスに拠点を置くリブラ協会(Libra Association)が管理するグローバル・ステーブルコインを開発するというフェイスブックの計画を妨げ、リブラは規制当局の管轄権限を越えるものになると主張している。
さらに、国際的な主要通貨のバスケットでリブラを裏付けるという計画は、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)から金融統制を奪うことになる可能性もある。
10月、FRBのラエル・ブレイナード(Lael Brainard)理事は、リブラのようなグローバル・デジタル通貨プロジェクトは、世界の中央銀行を不安定化させる可能性があると述べた。
ブロックス氏は、リブラのアプローチをUSDC(コインベースとサークルが発行するステーブルコイン)や他の同様のトークンと対比させ、ドルに裏付けられたデジタル通貨は中央銀行のコントロールにいかなる脅威も与えないと主張した。
FRBがコントロールするドルが、民間が発行するステーブルコインを裏付けることになれば、FRBはステーブルコインが基盤とする金融政策を依然としてコントロールすることになるとブルックス氏は指摘した。
ブルックス氏の見解によると、政府のベストアクションはほとんど何もしないこと。
リブラやコインベースのUSDCなど、さまざまなステーブルコイン・プロジェクトが、彼らが主張する通りに法定通貨の準備金を保有していることを確認する以外は、民間のイノベーションに干渉しないアプローチをブルックス氏は求めた。
我々はブルックス氏にコメントを求めたが、返答はまだない。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Dollars image via Shutterstock
原文:Coinbase Legal Chief Says Private Sector Should Build US Digital Dollar