国際送金技術を開発するブロックチェーン企業リップルが11月7-8日、年に一度の大型イベント「SWELL」を開催する。3回目となる今年、アジアで初めてシンガポールで行われる。インド準備銀行(中央銀行)元総裁や東南アジア銀行最大手CEO(最高経営責任者)が登壇するなど注目される。
SWELLとは──過去には元米大統領も参加した重要イベント
SWELLは米リップルの主催で2017年に始まった、年に一度のイベント。同年はカナダのトロントで開催され、2018年はアメリカのサンフランシスコで開催された。 2018年にはビル・クリントン元米大統領が講演するなど、重要な人物が集まるイベントだ。
3回目の今年はアジア初の開催。インド準備銀行元総裁のラグラム・ラジャン氏、東南アジアの銀行最大手であるDBSグループホールディングスのピユシュ・グプタCEOなど、地域の主要な人物が登壇する。またリップル社と資本提携している国際送金大手マネーグラムCEO、アレクサンダー・ホームズ氏も参加する。
2019年のリップル関連の主要な動きを振り返る
SWELLを控えた今、あらためて2019年に起きたリップルに関する主な動きを振り返っておこう。
リップル社がマネーグラム株式を最大54億購入する資本提携。海外送金にリップルの技術を使用
6月、リップル社がマネーグラムの株式を最大54億円購入する資本提携を発表。7月にはリップルの提供する国際送金技術xRapidを用いて国際送金を行ったと明かした。
東大、京大がリップル社設立のブロックチェーン研究プログラムに参加
7月、リップル社が54億円の資金を出して設立した「大学向けブロックチェーン研究イニシアチブ(UBRI)」に、東京大学と京都大学が参加することが明らかになった。この提携により両大学は、ブロックチェーンの研究を推進する。
リップル技術使ったマネータップ、ペイペイと提携
10月、SBIホールディングスの子会社マネータップが、リップル社の開発した分散台帳を基盤としたMoney Tapアプリを活用したチャージについて、ペイペイ(PayPay)と業務提携する方針を発表した。
ベトナム−日本間でリップルネット使った国際送金
11月、ベトナム銀行TPバンクが、リップル社提供の国際送金システム「リップルネット」を用いて、日本とベトナム間での送金を行った。分散台帳を用いた海外送金は同国で初めてという。
このほか、リップル社の投資部門スプリングは、ブロックチェーン分野で活発な投資を続けている。SWELLは過去、期間中に仮想通貨リップル(XRP)の価格が大きく動いたことでも知られる。アジアで初めての開催ということもあり、今年の内容にも注目が集まっている。
文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:SWELL公式サイト