金融庁が「仮想通貨の投資信託」を禁止する方針を固めたことが、日本経済新聞の報道で分かった。日経の11月5日の報道によれば、金融庁が2019年中にも仮想通貨を投資対象とする投資信託の組成と販売を禁止するルールをつくるという。
国内では仮想通貨を投資対象とした投資信託は販売されていないが、金融庁は9月末時点で、仮想通貨投資信託の組成・販売には「慎重に対応すべき」との考えを示していた。
「価格変動リスクの高い商品の組成は適切ではない」
金融庁が仮想通貨を対象とする投資信託への姿勢を示したのは9月末。「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正案を公表し、10月31日までパブリックコメントを募集した際だ。
9月の発表文で、「今後、暗号資産(仮想通貨)等を投資対象とする金融商品が組成されることも予想されますが、暗号資産への投資については、投機を助長しているとの指摘もあり、当庁としては、このような資産に投資する投資信託等の組成・販売には慎重に対応すべきである」との考えを示していた。
監督指針では、改正案が公表される前から、投資信託について「専門知識や経験等が十分ではない一般顧客を含めて幅広い顧客層に対して勧誘・販売が行われる商品」と位置づけ。勧誘についても、「顧客のライフステージ、財産の状況、投資目的等を踏まえたニーズを把握し、これに見合った商品を提供するとともに、顧客の知識、経験、投資意向に応じて適切」に行うことが重要としていた。
暗号資産・仮想通貨への直接の言及はないものの、「価格変動や流動性等のリスクが高い非特定資産等に投資するような商品」は、「組成することは適切ではない」としている。
この監督指針は法律ではないものの、金融庁が関連事業者をチェックする際の考え方であり、「実質的に強制力を持つ」(日経)。パブリックコメントの募集を経た今、金融庁の姿勢は従前と変わらなかったようだ。
文:濱田 優
編集:小西雄志
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