マイクロストラテジー株のボラティリティ、ビットコインの2.5倍に──トレーダーにとっての意味は?
  • マイクロストラテジー(MicroStrategy)株の30日インプライド・ボラティリティ(IV)は140.86%で、ビットコイン(BTC)の少なくとも2.5倍。
  • ボラティリティの上昇は、カバード・コール・ライターの収益を増加させる。
  • しかしこの戦略は、アップサイドを抑制する。

ビットコインを保有するナスダック上場企業マイクロストラテジーの株式(MSTR)のボラティリティは現在、ビットコインの2.5倍を記録している。このような状況は、ほとんどの市場参加者を動揺させるかもしれないが、オプション取引を行う精通した投資家にとっては、収入の可能性が高まることを意味する。

マイクロストラテジーは、世界で最も多くのビットコインを保有する上場企業であり、その保有ビットコイン数は38万枚を超える。直接保有することなくビットコインへのエクスポージャーを得ようとする投資家は今年、同社株に資金を注ぎ込み、株価は500%上昇した。一方、米CoinDeskとTradingViewによると、ビットコインは今年、124%上昇した。

マイクロストラテジー株がアウトパフォームするのは価格だけにとどまらない。

OptionCharts.comによると、12月2日の時点で、マイクロストラテジー株の今後4週間にわたる価格の上下への見込みを表すオプションベースの30日インプライド・ボラティリティは、年率換算で140.86%に達している。

これは、ビットコインの30日インプライド・ボラティリティ55.65%の2.5倍。ビットコインのインプライド・ボラティリティは、デリビット(Deribit)のDVOLインデックスから得ている。デリビットは世界をリードする暗号資産(仮想通貨)オプション取引所だ。

IVが高ければリターンも増える

インプライド・ボラティリティ(IV)は、オプションやデリバティブの価格(プレミアム)にプラスの影響を与える。オプションやデリバティブは、購入者に原資産を後日あらかじめ決められた価格で売買する権利(義務ではない)を与えるものだ。コール・オプションは買う権利、プット・オプションは売る権利を与える。

IVが上昇すると、オプション・プレミアムは上昇し、トレーダーはコール/プット契約を売買することで、より多くのプレミアムを集めることができる。

原資産を保有する賢明なトレーダーは、その資産の現在の市場レートを大幅に上回る権利行使価格でコール・オプションを売買することで、このダイナミズムを活用する。

このようなアウト・オブ・ザ・マネーのコールを売ること、つまり価格上昇に対する保険をかけることで、スポット市場での保有資産に上乗せされた利回りに相当するプレミアムを集めることができる。

市場が急騰した場合、現物資産から得られる利益は、コールのショートで発生した損失を補って余りある。このいわゆるカバード・コール戦略は、株式市場でもビットコインのオプション市場でも人気がある。

マイクロストラテジー株のボラティリティは比較的高いため、マイクロストラテジー株のオプションによるカバード・コール戦略は、ビットコインのオプションによるリターンの2.5倍のリターンを生み出す可能性がある。ソーシャルメディアではすでに、「MSTRのボラティリティで利益を生みだす」トレーダーの話題で賑わっている。

しかし読者は、カバード・コール戦略にはリスクがあることに留意してほしい。追加収入をもたらす可能性がある一方で、潜在的なアップサイドにも上限が設定されるため、大幅な高騰によるリターンを逃す可能性があり、ただコインを保有していた方が賢明な場合もある。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:AhmadArdity/Pixabay
|原文:MicroStrategy’s Wild Volatility Outpaces Bitcoin by 2.5 Times. Here’s What It Means for Traders?