APACが暗号資産成長の次なる段階を牽引:レポート
  • 米CoinDeskが委託し、プロトコル・セオリー(Protocol Theory)が実施した新しい調査によると、APAC(アジア・太平洋地域)における暗号資産(仮想通貨)普及率は、世界平均の7.8%に対して、24%だった。
  • この地域の新興市場は、発展の主要なカテゴリーで先頭を走っている。

米CoinDeskの委託によってプロトコル・セオリーが先月実施した調査によると、APACは世界の暗号資産成長の次の段階をリードする「ユニークな立場にある」。

世界平均の7.8%に対し、この地域はすでに24%とより高い普及率を誇っている。同調査によると、この背景には、インターネット普及率の上昇、規制環境の進化、投機的な関心、実用的な有用性、理解の深まり、暗号資産の将来性への確信など、さまざまな要因があるという。

オーストラリア、中国、香港、インド、日本、フィリピン、シンガポール、韓国、タイ、アラブ首長国連邦の4267人を調査したところ、この地域の成人の50%が暗号資産に対してやや前向き、または非常に前向きであることが分かった。地域的な普及率はその半分以下であるにもかかわらずだ。

「このことは、将来的な成長の大きな可能性を示している」と調査をまとめたレポートの著者は指摘している。

回答者の27%は暗号資産に対して中立的な見解を示し、24%は暗号資産の価値に懐疑的であると答えている。しかし、肯定的なセンチメントは高まっており、50%が1年前よりも暗号資産に対して肯定的な感情を抱いている。

「このセンチメントの高まりは、ビットコインの最近の好調なパフォーマンスや、最近では目立ったスキャンダルがないことなど、いくつかの要因に影響されている可能性がある」と、レポートは指摘。

「しかし、センチメントは気まぐれなものであるため、市場関係者はこの好条件を責任を持って活用することが急務だ」

金融の変革

調査によると、この地域の成人の10人中6人以上が、デジタル資産が世界の金融と投資の将来において重要な役割を果たすと考えている。

新興市場の急速な発展と相まって同地域が金融の変革期を迎えている中、同レポートは暗号資産に対する草の根レベルの関心と受容を指摘している。同地域のほとんどの国で暗号資産は法定通貨ではないにもかかわらず、成人の半数以上が暗号資産は日常的な用途に使用されるだろうと考えている。

「この楽観的な見方は、日常生活における暗号資産の役割に必然性があることを示唆している」

また、さらなる導入は実用的なメリットによって推進されるとしている。回答者の合計29%は、自国内での支払い能力のため、27%は国境を越えた取引のため、30%は金融サービスへのアクセスのために暗号資産に価値を見出すと回答しているが、レポートは回答者のどの程度がこれらの目的で暗号資産を使用したことがあるかについては述べていない。

とはいえ、こうした動機は「目に見えるメリットと実際の用途に基づく、暗号資産導入への現実的なアプローチを浮き彫りにするもの」としている。

新興市場

同レポートはまた、日本やオーストラリアなど、より確立された金融地域と比較して、新興市場での関心と導入率が高いと報告している。この2カ国は暗号資産に関する規制やインフラが比較的良好であるにもかかわらず、需要が比較的弱いため、実際の普及率は他の地域と比べて低いままだ。

「逆に、フィリピンやアラブ首長国連邦のような地域では、暗号資産の普及をサポートする効果的な要素が整備されているだけでなく、根本的な需要も強い」と同レポートは述べ、「この結果、APACだけでなく、世界でも最も高い暗号資産普及率となっている」と指摘している。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:APAC Will Lead the Next Phase of Global Crypto Growth – Report