イーサリアムが8%上昇──ビットコインのドミナンスは低下
  • イーサリアムは2021年を思わせる資金流入の恩恵を受けている。
  • ビットコインとソラナはどちらもドミナンスを失っている。
  • FRBのジェローム・パウエル議長がディールブック・サミットでビットコインと暗号資産に関する見解を表明した。

長らくビットコイン(BTC)の価格動向に遅れをとっていたイーサリアム(ETH)が4日に堅調な上昇を見せ、過去24時間で8%上昇して3880ドル(約58万円、1ドル150円換算)を超えた。

ベンチャー・スタジオ、マスター・グローバル(Master Global)のパートナーであるトム・ダンリービー(Tom Dunleavy)氏はイーサリアム価格について、8億ドル(約1200万円)相当のショートポジションが解消されたことで恩恵を受けたと述べた。一方、CoinDeskのシニアアナリストであるジェームズ・ヴァン・ストラテン(James Van Straten)氏は、「2021年の強気相場を思わせる資金流入からも利益を得ている」と指摘している。

[暗号資産の資金回転(Checkonchain)]

ヴァン・ストラテン氏は、ビットコインのドミナンスは11月21日に61.85%でピークを迎え、その後54.84%まで急落したと指摘した。ソラナのドミナンスも急落している。同氏は、「ビットコインは横ばいを維持しているため、イーサリアムが追いついているのだ」と述べた。

[ビットコインとソラナのドミナンスが低下(TradingView)]

これは、CoinDesk 20 Index(CD20)(ステーブルコイン、ミームコイン、取引所コインを除く上位20位の暗号資産で構成される指数)に含まれる多くのコインが好調なパフォーマンスを示している理由でもある。この指数自体は4日に1.83%の上昇にとどまっているが(ビットコインの1.52%の微増に押し下げられている)、イーサリアムクラシック(ETC)、ファイルコイン(FIL)、ポルカドット(DOT)、ユニスワップ(UNI)はそれぞれ過去24時間で22%、18%、17%、16%上昇している。

ビットコインは、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)が開催したディールブック・サミット(DealBook Summit)で米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長が行った発言に強く反応しなかった。パウエル議長は、インフレについて簡単に触れただけで、アメリカ中央銀行は財政的中立性を追求する上で慎重に行動する余裕があると述べた。その後、CNBCのホストであるアンドリュー・ロス・ソーキン(Andrew Ross Sorkin)氏が、ビットコインの上昇が米ドルの運命に対する投資家の懸念によるものかどうかを尋ねた。

パウエル議長は、「人々はビットコインを投機的資産として使用している」とし、「金のようなものだ。ただし、ヴァーチャルでありデジタルだ。人々はこれを支払い手段や価値の貯蔵として使用していない。非常に変動が激しい。ドルの競合ではなく、実際には金の競合だ」と述べた。

さらにパウエル氏は、「暗号資産(仮想通貨)の金融システムへの統合に関しては、消費者保護とともに、銀行システムの健全性と安定性を守ることが優先事項だ」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Ether Rises 8% Amid Slumping Bitcoin Dominance