- ビットコイン(BTC)とアルトコインの無期限先物市場における年率100%前後の資金調達率は、価格が急反落するリスクを高めると一部のアナリストは分析する。
- ビットコインはマーケットメーカーのヘッジ活動により、10万ドル前後でサポートされ続ける可能性が高いと、ある観測筋は指摘した。
ビットコインと広範な暗号資産(仮想通貨)市場では、強気のレバレッジ戦略に対する強い需要が見られる。これは市場が過熱している兆候だ。マーケットメーカーによるヘッジがビットコインを10万ドル前後で維持する可能性は高いが、活発化した動きは他の暗号資産の反落リスクを高めている。
トランプ次期大統領が米証券取引委員会(SEC)委員長に暗号資産推進派のポール・アトキンス(Paul Atkins)氏を任命すると決定したことを受け、ビットコインは12月5日、10万3000ドルを超える史上最高値を更新した。
このブレイクアウトにより、トレーダーは価格上昇を追いかけ、無期限先物の資金調達率(ファンディング・レート)を急上昇させた。これは、 ロング・ポジションに対する需要の高まりと過密状態の表れだ。
このようなシナリオでは、わずかな引き戻しが大規模な清算(証拠金不足による取引所による強制的な売り)を招き、ダウンサイド・ボラティリティが高まる可能性がある。
暗号資産金融プラットフォームBloFinのオプション取引・リサーチ責任者であるグリフィン・アーダーン(Griffin Ardern)氏によると、これに対してオプション市場がサポートになる可能性があるという。
オプション価格が原資産価格よりも速く上昇する場合、つまりいわゆるガンマ・インバランスがポジティブな場合、マーケットメーカーは保有資産を売却して純エクスポージャーを中立に保つ傾向がある。
一方、ガンマ・インバランスがネガティブの時には買うことで、逆張りの力を発揮し、価格の変動を抑える。
「ビットコインは短期的には、マーケットメーカーのヘッジ活動に支えられて10万ドル前後で安定する可能性がある」とアーダーン氏はCoinDeskに語り、「オプション市場からのこのようなサポートは、レバレッジ解消の影響をある程度相殺するかもしれない」と続けた。
VeloDataのデータによると、ビットコインの年率換算資金調達率はほぼ100%に急上昇し、ドージコイン(DOGE)のような純粋に投機的なトークンの調達率を上回った。エックス・アール・ピー(XRP)、クロノス(CRO)、モネロ(XMR)などのコインも100%を超える資金調達率を誇っている。
「このEOD(取引終了時の出来高加重平均価格)は、セイラー氏がさらに数十億ドルを台無しにしたことを示唆している。(ビットコインの)資金調達率を見ると、この最後の動きは純粋にレバレッジ主導だったと思う」と、ハートマン・キャピタル(Hartmann Capital)の創設者兼マネージング・パートナーのフェリックス・ハートマン(Felix Hartmann)氏は語った。同氏が話題にしているのは、ビットコインの最大の保有者である上場企業マイクロストラテジー(MicroStrategy)のエグゼクティブ・チェアマンであるマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏のことだ。
「ここで20~30%の強気相場の調整があっても驚かないだろう。8万ドル台でもおかしくない」と、ハートマン氏は続けた。
ハートマン氏は、強気相場を維持するためには、マイクロストラテジーによるビットコイン購入以上の追加需要が必要だと強調した。この見方には、ソーシャルメディア上の複数の観測筋も同意している。彼らは、市場が上昇を続け、強気の投資を維持することにかかるコストを正当化するか、急激な調整で下降に転じるかのどちらかであると示唆した。
マーケットメーカーの活動があっても、ビットコイン価格のボラティリティは年末にかけて戻る可能性がある。
アーダーン氏はCoinDeskに対し、「12月27日に満期を迎えるオプションが10万5000ドルでポジティブ・ガンマとなれば、十分な重力をもたらす可能性があるが、満期後はそれも消滅し、価格の不確実性を高めるだろう」と述べた。
オプションはデリバティブ契約であり、購入者に原資産を後日あらかじめ設定された価格で売買する権利を提供するが、義務ではない。強気の賭けであるコールは買う権利を、プットは売る権利を与える。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:Market Makers May Keep Bitcoin Around $100K as Overheated Market Faces Pullback Risks