- ビットコインの7日物プット取引は、9月以来の高ボラティリティプレミアムで取引されている。
- 長期オプションにおけるコールスキューは弱含みで推移している。
- FRBは2025年に2回の利下げを行うと見られるが、9月の予測では4回だった。
ハト派的なアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)に対する暗号資産(仮想通貨)トレーダーの懸念は、12月18日に現実のものとなった。ジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は金利を引き下げたものの、今後の緩和の速度と程度について不確実性を表明したためだ。そして、今、その見方は悪化している。
デリビット(Deribit)に上場されているプットオプションは、下値リスクをヘッジするもので、1週間後に期限が切れるが、アンバーデータ(Amberdata)のデータによると、コールオプションに対するインプライド・ボラティリティ・プレミアムは9月以降で最高となっている。つまり、プットオプションはこの3カ月間でコールオプションに比べて最も割高となっているということだ。
これは、タカ派的なFRBをきっかけとした18日の下落が続く可能性を考慮し、強気の投資をヘッジしようとするトレーダーの動きの表れだ。
悲観的な見方は、2カ月から6カ月のオプションにおけるプットのバイアスとコールのバイアスが大幅に弱まったことを反映した、1カ月のネガティブなスキューからも明らかだ。これらのコールは、プットに対して3倍のプレミアムで取引されており、今月初めに観察された4~5倍のプレミアムから減少している。
18日、FRBは基準金利を25ベーシスポイント引き下げ、4.25%~4.5%の範囲にした。これは、緩和サイクルを開始した9月の水準よりも100ベーシスポイント低い水準だ。
FRBのパウエル議長が、金利が中立水準に近づいているため、金利引き下げは「ぎりぎりの判断」であり、今後の動きについては慎重になるべきだと強調したため、ビットコインは金利引き下げ発表後に下落した。
パウエル議長はまた、FRBは政府によるビットコイン戦略備蓄計画への参加の意図はないとし、理事らはFRB法の改正を推進するつもりはないと付け加えた。これは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領が最近、政権発足後はアメリカの石油備蓄と同様のBTC備蓄の設立を検討するとの発言をした後のことだ。
一方、19人の連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバーが予想するフェデラル・ファンド金利の将来の推移を匿名でグラフ化した「ドット・プロット」では、2025年には3回の利下げが予想されていたが、2回にとどまり、9月の4回から減少した。
このドットプロットは、市場を基本的に上回り、リスク資産を下落させた。ダウ平均は2.5%、つまり1000ポイント以上下落し、TradingViewとCoinDeskによると、BTCは10万5000ドル付近から9万9000ドル以下まで下落した。
この記事を書いている時点では、BTCは10万1500ドル前後で取引されており、損失からの回復を目指している。
一方、主要通貨に対するドルの価値を測るドル指数(DXY)は上昇を維持し、2022年10月以来の高値である108付近で安定している。米ドルの持続的な強さは、リスク資産の苦境に拍車をかける可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Hawkish Fed Has Bitcoin Market Feeling Most Fearful in 3 Months