- 2024年には、機関投資家によるビットコインの採用が増加し、貸借対照表への組み入れやアメリカの現物ETFの上場などが見られた。
- アメリカのビットコイン現物ETFは、運用資産残高(AUM)においてゴールドのETFをほとんど追い抜いている。
- CMEでのビットコイン先物の建玉残高は依然として堅調であり、年末に向けてさらに勢いが増すことが示唆されている。
2024年は、特にビットコイン(BTC)にとって画期的な年となった。これは、機関投資家の採用が増加したことが要因だ。この変化は主に2つの要因によってもたらされた。1つ目は、財務資産として貸借対照表にビットコインが組み入れられたこと、2つ目は、100万BTC以上を蓄積したアメリカのビットコイン現物ETF(上場投資信託)の成功だ。
K33リサーチ(K33 Research)の報告書によると、アメリカのビットコイン現物ETFは、先物取引などに基づくETFのレバレッジ商品を含めると、運用資産残高(AUM)でアメリカに上場されているゴールド(金)のETFを上回っていることが明らかになった。K33リサーチのアナリスト、ヴェトル・ルンデ(Vetle Lunde)氏によると、12月17日時点で、ビットコインETFの運用資産残高(AUM)は1292億5000万ドル(約20兆337億5000万円、1ドル=155円換算)に達し、ゴールドETFのAUMである1288億8000万ドル(約19兆9764億円)を上回った。
しかし、現物ベースの商品を比較した場合には、まだゴールドがわずかに上回っている。ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏によると、アメリカのビットコイン現物ETFの運用資産額は1200億ドル(約18兆6000億円)であるのに対し、ゴールドETFは1250億ドル(約19兆3750億円)だ。
CMEでは活発な取引が続く
主に機関投資家によって利用されているシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、先物取引の未決済契約が21万2635BTCに達し、過去最高に迫る活発な取引が続いている。
報告書によると、ベーシストレード・プレミアムは上昇を続け、16.4%に達した。これは2023年11月以来の高水準だ。このことは、CMEのトレーダーたちが年末に向けて勢いが強まると予想していることを示している。
報告書では、「1月限は12月限と比較して大幅なプレミアムで取引されており、コンタンゴ(順ざや)は12月16日に1.5%まで拡大し、翌月プレミアムとしては2023年11月以来の高水準となった。CMEの12月限は依然として最も価値が高く、建玉残高は11万3480BTCに相当する。今後予定されている12月のロールオーバーは、いくつかの銀行休業日が1月のプレミアムのさらなる拡大につながる可能性があるため、大きなものになることが予想される」としている。
勢いはこの1カ月間も続いている。ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)のデータによると。アメリカのビットコイン現物ETFは11月27日以降、毎日純流入を記録しており、その総額は65億ドル(約1兆75億円)に上る。ベーシストレード・プレミアムが拡大し続け、CMEの未決済契約の金額が増加しているので、これらの純流入の大部分はキャッシュアンドキャリー取引の一部であることに留意する必要がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:itti ratanakiranaworn/Shutterstock
|原文:U.S. Listed Spot Bitcoin ETFs on the Verge of Surpassing Gold ETFs