「アルトコイン」という呼び方をやめ、資産クラスとして受け入れられるべき時が来たと投資プラットフォームTruviusの共同創業者で、COO兼CFOのマックス・フレッチャ(Max Freccia)氏は語る。
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米大統領選後、暗号資産(仮想通貨)への逆風は収まったようだ。2024年11月初旬、ビットコイン(BTC)は10万ドルを超えた。その背景には、SEC(米証券取引委員会)のゲーリー・ゲンスラー委員長の後任に暗号資産に友好的なポール・アトキンス(Paul Atkins)氏が指名されたこと、同じく暗号資産支持者のデビッド・サックス(David Sacks)氏が「AIおよび暗号資産担当長官」に、下院金融サービス委員会委員長にフレンチ・ヒル(French Hill)議員が指名されたことなど、規制面での進展があった。
2024年の選挙シーズンは暗号資産に有利な形で幕を閉じ、一部の人々は、2025年はビットコイン以外の暗号資産が好パフォーマンスを維持する「アルトコイン・シーズン」が続くと予測している。だが、暗号資産をこのように大きく分類することは正しいのだろうか?
市場コメンテーターは、ときに性急に暗号資産エコノミーを2つの単純化されたグループに分類する。つまり、
1)ビットコイン(そして今では一部の人にとってはイーサリアムも含む)
2)オルタナティブ、または「アルト」コイン
の2つだ。暗号資産の初期には、この分類は理にかなっていた。ビットコインがブロックチェーン技術のユースケースを開拓しており、他のユースケースはまだ足場を固めている最中だった。ビットコインの誕生から約16年が経過し、暗号技術の革新と分野特化型のアプリケーションが爆発的に増加したことで、暗号資産はビットコインと「それ以外」という二元的な分類を越えたものとなった。投資家は今、暗号資産を多様な分野にわたる資産クラスとして扱う必要がある。
暗号資産の構成要素を概観
「アルトコイン」という名称は、ビットコイン以外の暗号資産は株式市場などの他の資産クラスの構成銘柄に比べて、規模や業界に特化した目的が不足しているとの印象を与えるだろう。以下の図は、S&P500の同規模の構成銘柄と、ビットコインを除く主要な暗号資産の時価総額を比較したもの。これらの資産クラスには、構成銘柄の規模だけでなく、セクターの分散という観点でも類似性があることがわかる。
上記の著名企業の株式は、規模においてトップ25の暗号資産と類似しているだけでなく(例:ソラナの時価総額はUPSとほぼ同じ)、両方の資産クラスは、各市場においてさまざまな業界にまたがっている。上記の暗号資産の数は、株式銘柄の数と比較すると少ないが、これらの暗号資産は、時間の経過とともにその規模と範囲を拡大する可能性が高い。
暗号資産の長期的な多様化
暗号資産投資に「ビットコイン vs アルトコイン」という二元的なアプローチを取ることは、暗号資産投資および全体的な資産アロケーションにおけるポートフォリオ構築のメリットを逃す可能性がある。すべての暗号資産セクターおよびユースケースに、慎重に構築され、分散化した意図的なエクスポージャーを持つことは、資産の集中リスクを軽減し、ポートフォリオが資産クラスの価値提案全体にエクスポージャーを持つことを保証し、より幅広い資産アロケーションの中でより多くのリターン源を持つことにつながる。
暗号資産は変化が早く、革新的であることを考えると、資産クラスの広がりに適応できる暗号資産アロケーションを構築することがきわめて重要だ。投資ポートフォリオ内の資産クラスとして、より広範な暗号資産エコノミーを受け入れることは、長期的な戦略を通じて暗号資産に資産アロケーションすることを意味する。
進化する資産クラスについての結論
ビットコインと「その他すべて」に焦点を当てることは、多くの暗号資産がすでに意味深く、急速に成長している事実を覆い隠す可能性があり、投資家がその資産クラスへの包括的な投資に関連する長期的なポートフォリオの利益を逃す原因となりかねない。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Shutterstock
|原文:Out With the “Altcoin,” in With the Asset Class