- ファイナンスプラットフォーム、ランウェイ(Runway)の創業者シーキー・チェン(Siqi Chen)氏が娘のミラ(Mira)ちゃんの希少な脳腫瘍との闘いをシェアした後、「ミラ(MIRA)」という名のミームコインがPump.funで作られた。
- このトークンは、コミュニティからの支援と、Xユーザー@Waddles_ethがチェン氏に供給量の50%を贈ったことにより、時価総額ゼロから8000万ドル(約126億4000万円、1ドル=158円換算)へと急成長した。
- 価格は12月26日のピーク時からは80%下落したが、ミラトークンは脳腫瘍研究のために100万ドル以上を集めた。
- チェン氏は、コロラド大学のハンキンソン研究室に資金が提供され続けるように、10分ごとに1000ドル相当のミラトークンを販売することを約束した。
娘が患う希少な脳腫瘍の研究のために寄付を求める父親の嘆願が暗号資産(仮想通貨)トレーダーを引き付け、Pump.Funで作られたミームコインが12月26日、時価総額ゼロから8000万ドルまで急成長した。
ミラトークンの価格は26日のピークから80%下落し、27日の時点では1セント強で取引されている。しかし、後発の買い手が損失を抱えている一方で、この取り組みによって100万ドル以上の寄付が集まった。
企業向けの財務計画アプリケーション、ランウェイ(Runway)の創業者であるシーキー・チェン氏は、26日付のXの投稿で、娘のミラちゃんが9月に脳腫瘍があると診断され、その腫瘍の珍しさから研究と資金援助が「不足している」と述べた。
クラウドファンディングプラットフォーム「GoFundMe」上のチェン氏のページは、26日の時点で目標額の30万ドルの80%を集めており、すべての寄付金はコロラド大学のハンキンソン研究所の研究活動に直接寄付される。
チェン氏はまた、寄付を受け付けるためにXスレッドに自らのイーサリアムウォレットの情報を掲載し、ユーザーからのより多くの選択肢を求める声に応え、ソラナとビットコインのアドレスも追加した。
そして、Pump.funの出番となった。
Pump.funプラットフォームでは、誰でも2ドル未満の資本金でトークンを発行することができ、トークンの数、テーマ、それに付随するミーム画像を選ぶことができる。トークンの時価総額が6万9000ドルに達すると、流動性の一部がソラナに拠点を置く取引所Raydiumに預けられ、バーン(焼却)される。
Pump.funのあるユーザーが、チェン氏と彼の娘の写真を添えたミラトークンを作成したが、そのトークンには当初、他のミームコインと同様に取引可能なトークンであること以外に明確な目的はなかった。
作成者のプロフィールを見ると、ミラトークンはその日このユーザーが作成したいくつかのトークンのうちのひとつに過ぎず、他のトークンはどれも時価総額6000ドルを突破していない。
しかし、そこから事態は大きく動き始めた。Xユーザーの@Waddles_ethが供給量の50%を購入し、そのすべてをチェン氏に送ったのだ。その後、チェン氏は自身のXアカウントでミラトークンについてシェアした。
これがトークンのバイラリティを確実なものにし、26日の早い段階で価格は1セントから8セントのピークに達した。チェン氏の保有するトークンの価値は40万ドルから1800万ドル以上に急騰。ミラトークンは広く取引されるようになり、ピーク時には700万ドルの流動性を集めた(ソラナのSOLとミームコインの両方で)。
13万件以上の取引で取引高は8500万ドルを超え、過去24時間で最も人気のある小規模トークンとなった。
going to take the family out for christmas dinner hope this is worth at least $1.80 when i get back pic.twitter.com/41rp8D2jig
— Siqi Chen (@blader) 2024年12月26日
何だかかさっぱりわからないのだが、Meteora(ソラナ上の分散型取引所)に(一方的な)流動性を追加し続けるように言われたので、そうしている。
毎日1%ずつ売ることを約束するかもしれないけれど、それでも明日までは何も動かさない。
ところで、どうやって私の犬の名前が分かったんだ?クリスマスディナーに家族で出かける。戻ってきたら、少なくとも1.80ドルになっていること願う。
「インターネットを30年使ってきて、色々ものを見てきたが、今日は人生で最もクレイジーな日だ」と、価格が高騰するなかでチェン氏は投稿し、次のように宣言した。
「10分ごとに1000ドル相当のミラを永久に清算する。このスケジュールを変更する場合は、24時間前に発表する」
「ラグプルをして0ドルまで下落させたければ、すれば良い。私たちは20万ドルを集めることを目標にしたが、希少疾病研究のために少なくとも100万ドルを集めることができるのだから」と、チェン氏は投稿した。
this is a long read, but i had some time to think over dinner and wanted to share a few thoughts and provide a plan forward:
— Siqi Chen (@blader) 2024年12月26日
0. i’ve had a lot of very memorable days on the internet over the past 30 years, but this one tops them all. my wife yi and i are unbelievably grateful to… pic.twitter.com/Aeggjc7vwH
長い文章になるが、夕食をとりながら考える時間があったので、いくつかの考えをシェアし、今後の計画を示したいと思う。
0. 過去30年間、インターネット上で記憶に残る多くの日々を過ごしてきたが、今回はその中でもトップだ。妻と私は、信じられないほど感謝している…
この出来事に対するコミュニティの反応は圧倒的に好意的で、複数のユーザーが、ミームコインがいかにポジティブな結果を世界にもたらすことができるかを指摘している。
ミームコインは主にバイラリティ、注目度、盛り上がりに基づいている。プロの投資家の間では不真面目なものとみなされているが、ベンチャーキャピタルが支援する大規模な暗号資産トークン(小規模な個人トレーダーを犠牲にして、すでに裕福な投資家をさらに富ませるものと認識されている)と比較すると、この1年で大規模な需要が見られ、好まれるようになった。
そしてミラトークンは、人々の見方を変えるのに貢献した。
「私はミームコインはバカげていて未来がないと思っているので、手を出さない。しかし、もし私がミームコインを擁護したいと考えたら、どこを出発点にしたら良いかが今では分かった」と、Xユーザーの@JaEsfは語った。
「暗号資産でこんなことができるなんて、素晴らしいし、クレイジーだ。EVM、ソラナ、どのチェーンでも。これが暗号資産の存在理由だ!資産の移動を簡素化するのだ」と、同じくXユーザーの@mbaril010は述べた。
一方、当初トークンの半分をチェン氏に送った@waddles_ethは、結果は全体的に期待通りだったと語った。
Hi @blader,
— waddles (@waddles_eth) 2024年12月26日
I’m the person who sent you 50% of $MIRA earlier today.
When I saw the story about Mira and her illness, I thought it would be good to buy and send supply to you with the hopes of getting the SOL community behind a good cause on Christmas. I’m really glad that it…
こんにちは、チェンさん
本日、$MIRAの50%をお送りした者です。
ミラちゃんと彼女の病気についてのポストを見たとき、クリスマスにソラナコミュニティが善意のもとに結集することを期待して、トークンを購入し、あなたに贈るのは良い考えではないかと思いました。このような形になって本当にうれしい…
「こんにちは、チェンさん。本日、$MIRAの50%をお送りした者です。ミラちゃんと彼女の病気についてのポストを見たとき、クリスマスにソラナコミュニティが善意のもとに結集することを期待して、トークンを購入し、あなたに贈るのは良い考えではないかと思いました」と、今では広く拡散された投稿で@waddles_ethは語り、次のように続けた。
「このような形になって本当にうれしい。そして、このお金がミラちゃんや同じ病気で苦しむ人たちのための治療法を見つける手助けになることを願っている」
2025年は、善のための暗号資産がついにブームになるかもしれない。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Siqi Chen/GoFundMe
|原文:Memecoin Degens Raise Millions for Rare Cancer Research After a Father’s Plea