- ビットコインは、10万ドルを突破した日以来で最安値となる値下がりを見せた。
- 今回の下落は、利益確定の動きが強まったことが一因である。
- マクロ経済の要素も、暗号資産市場に重くのしかかってきている。
米国のマクロ経済データが悪く、利益確定の動きが激化したため、暗号資産(仮想通貨)の価格は現地時間12月30日に不安定な展開を見せた。
ビットコイン(BTC)は本記事執筆時点の過去24時間で1.8%下落し、9万1800ドル(約1440万円、1ドル=157円換算)となった。これは、初めて10万ドルを突破した12月5日以降で見られなかった安値だ。最大の暗号資産として12月17日に記録した10万8278ドル(約1700万円)から14%以上値下がりした。
これに比べてイーサリアム(ETH)は下落幅が小さく、0.7%下落して3320ドル(約52万円)となったが、12月の高値から17%下がっており、2021年に記録した4820ドル(約76万円)の記録をまだ上回ることができていない。ソラナ(SOL)もビットコインよりやや強いパフォーマンスを見せており、SOL/BTC比率は本記事執筆時点で0.35%上昇した。
ステーブルコインやミームコインなどを除いた時価総額上位20の暗号資産のインデックスであるCoinDesk 20も赤字で、3.74%下落している。リップル(XRP)とステラ(XRM)はそれぞれ6%と6.3%下落し、最も大きな打撃を受けたが、イーサリアムを除いて最も回復力があったコインはライトコイン(LTC)で、1.9%の下落となった。
暗号資産関連企業の株価も打撃を受けた。 マイクロストラテジー(MicroStrategy)と コインベース(Coinbase)はそれぞれ 7% 、5.3%と下落し、MARAホールディングス(MARA Holdings)や ライオットプラットフォーム(Riot Platforms)などの大手ビットコインマイニング企業は 7% 以上の値下がりを見せた。
売りの圧力は、ビットコインが今年 117% 以上急騰したことを受けて投資家が現金化したことによるところが大きい。現在、利益確定の額は 7 日移動平均で 12 億ドル(約1880億円)を超えており、12 月 11 日のピーク時の 40 億ドル(約6280億円)よりは大幅に低いものの、通常よりははるかに高水準だ。また、利益確定の大部分は、ビットコインを長期保有してきた投資家によってなされている。
マクロ経済の動向
マクロ経済も市場の重しとなっており、シカゴ地域の製造業と非製造業におけるパフォーマンスの尺度となる米国シカゴ PMI は 5 月以来の最低値を示し、景気減速が進行していることが示唆される。
2025年に向けた連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策をめぐる不確実性は、少なくとも3月までは利下げを行わないと示唆していることから、好材料にはならない。現地時間1月20日に予定されているドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領の就任も一因となっているかもしれない。S&P500、ナスダック、ダウ・ジョーンズは1%以上下落している。
「2024年の市場は予想を上回ったが、伸び悩みの兆候から統合の必要性が示唆された」と、アムンセン・デイビス(Amundsen Davis)のパートナーであるジョー・カルラサーレ(Joe Carlasare)氏はCoinDeskに語った。「2025年を見据えて、私は楽観視しているが、コンセンサスから逸脱する予想をしている。コンセンサスから外れるのは市場でよく起こることだ。ビットコインが用いられていく動向は強まり続けており、基本的には従来の市場に沿って動くと予想している。米国が大幅な成長減速を回避すれば、ビットコインは好調なパフォーマンスを見せるはずだが、2024年よりは不安定になるかもしれない」
|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Bitcoin Drops to $92,000 as Long-Term Holders Keep Taking Profit