“となりのWeb3”、日常に浸透する「夏」がやってきた【2025年始特集】一覧

「夏」だ。間違いなく。だが、夏が始まったばかりなのか、一番ホットな時期はもう過ぎたのか、それとも、まだまだ暑さが続くのかはわからない。

2024年1月、SEC(米証券取引委員会)によるビットコインETFの承認が、その後の数年にわたるドラスティックな変化の始まりだったと、数年後、十数年後に振り返ることになるだろう。

ETFへの大規模な資金流入(ビットコイン現物ETFの運用資産残高は12月、ゴールドETFとほぼ並んだ)に後押しされ、ビットコインはこれまでとは異なり、半減期を前に当時の史上最高値を更新。さらに米大統領選で暗号資産支持を打ち出したトランプ氏が当選したことにより、12月初旬にはついに10万ドルを超えた。

こうした状況を受け、国内では暗号資産の規制フレームワークの見直しが議論され、国内でのビットコインETFの登場、個人の分離課税の実現に向けた道が開きつつある。規制環境の変化はまた、業界に大きな変化をもたらす可能性もある。

2024年に国内での流通が期待されたステーブルコインも、2025年のそう遅くない時期での登場が予想される。4月には大阪・関西万博(EXPO 2025)も始まる。

万博は、最先端テクノロジーのショーケースとして、ウォレット、分散型IDなど、Web3 / ブロックチェーンのユースケースをわかりやすく、多くの人に実感してもらう絶好の機会となり得る。

いや、多くの人がWeb3 / ブロックチェーンを意識することなく、いつの間にかシームレスに利用している状況こそ、2025年に期待される姿だろう。

2025年の年頭、CoinDesk JAPANはステーブルコイン、ETF、機関投資家、企業のビットコイン保有、メーカーのブロックチェーン活用、地方創生、AIなど、注目のテーマを切り口に年始特集をお届けします。

本年もよろしくお願いいたします。

CoinDesk JAPAN編集長 増田隆幸

年始特集ラインナップ

1月1日
SBI、ステーブルコイン「USDC」のサービスを1~3月に開始へ──ビットコインETFの組み入れファンドも検討【2025年始特集】

暗号資産(仮想通貨)などのデジタル資産の事業基盤を国内外で固めてきたSBIホールディングスが、2025年も拡大のアクセルを踏み込む。

まずは、子会社で暗号資産取引サービスを運営するSBI VCトレードが、米ドルに連動するステーブルコイン「USDC」の取り扱いを開始する。世界で流通するステーブルコインがいよいよ日本に上陸する。

1月2日
急増するビットコインの大口取引、野村のレーザーDが見た世界の激戦区──「マーケットの本格化はこれからだ」【2025年始特集】

「2021年のクリプト・サマー(暗号資産・夏の時代)とはわけが違う。マーケットが活発化するのはこれからだ」。野村ホールディングスの暗号資産子会社、レーザー・デジタル日本法人の経営を指揮する工藤秀明氏はこう話す。

ビットコインを中心に暗号資産の大口取引のオーダーが増加するなか、野村はレーザー・デジタル(Laser Digital)を通じてトレーディングと資産運用事業をさらに強化する。

1月3日
メタプラネット、2025年にビットコイン保有10,000枚超を目指す──元ゴールドマン・トレーダーが経営指揮する日本企業の正体【2025年始特集】

株式と社債を発行してでもビットコインの購入を続けるメタプラネット。東京証券取引所に上場しているホテルの開発運営会社で、その名は国内外で徐々に知られるようになった。

暗号資産・支持派に転じたドナルド・トランプ氏が次期米国大統領に選ばれたことで、世界の暗号資産業界の関係者は北米の動向を注視する展開だ。同時に、時価総額で最大の暗号資産であるビットコインを買い増すメタプラネットに対しては、株式市場も注目する。

1月4日
転売対策、品質管理…海外展開を進める「獺祭」がブロックチェーンで挑む日本酒復権【2025年始特集】

国内の酒類市場で無許可転売が深刻な問題となっている。2023年末に大阪国税局が20代の男性を酒税法違反で行政処分した事例は、この問題の一端を示している。男性は1500本、2500万円相当の高級ウイスキーを購入し、価格を上乗せして転売していた。

この問題は新型コロナウイルス感染症を機に顕在化し、その後も拡大を続けている。全国の国税局による行政処分は年々増加傾向にあり、フリマアプリやネットオークションの普及がさらなる拡大を後押ししている状況だ。

1月5日
地方創生✕Web.3は、日本再生の切り札となるか──自治体間の “ゼロサムゲーム” に陥らないために【2025年始特集】

石破首相は「地方創生2.0」を政権の1つの旗印に掲げる。2024年10月、国会での首相就任後初の所信表明で「地方こそ成長の主役です。地方創生をめぐる、これまでの成果と反省を活かし、地方創生2.0として再起動させます」と述べ、「ブロックチェーンなどの新技術やインバウンドの大きな流れなどの効果的な活用も視野に入れ、国民の生活を守りながら、地方創生を実現してまいります」と続けた。