ビットコインの計算能力、次の半減期よりはるか前に大台に到達か
  • ビットコインのハッシュレートは過去1年で56%上昇しており、7日間の平均で約787EH/sとなっている。
  • ハッシュレートが控えめな20%のペースで成長した場合、2027年までに1ゼタハッシュに達する可能性がある。
  • 10月以降、ビットコインネットワークは7回連続で難易度の上方調整を行っており、これは2021年の中国のマイニング禁止以来見られなかった状況だ。

ビットコインネットワークのハッシュレート(コンセンサスアルゴリズムがプルーフオブワークのブロックチェーンでブロックをマイニングするために必要な計算能力)は、約3年半後の次の半減期前に1ゼタハッシュ/秒(ZH/s)に達する軌道に乗っており、マイナーは安価な電力契約とより効率的な機器を確保しなければならないというプレッシャーにさらされている。1ZH/sは1000エクサハッシュ/秒(EH/s)に相当する。

年間20%という比較的落ち着いたペースで上昇したとしても、平均ハッシュレートは2027年までに1ZH/sに達する可能性がある。グラスノード(Glassnode)のデータによると、ハッシュレートは2020年以降に平均で年間65%成長しており、現在7日間の移動平均で約787EH/sとなっている。

ハッシュレートは、ビットコインマイナーの収益性の重要な要素だ。ハッシュレートが高いほどエネルギーコストも高くなるため、マイナーにとって事業運営の最適化が非常に重要となる。また、ネットワークセキュリティにも影響しており、過去1年で56%上昇している。

ハッシュレートが上昇するペースは4月の半減期後の2024年下半期に加速している。半減期にはブロック報酬が1日あたり50%減少して450BTCとなり、マイナーが受け取る収益が減少した。この圧迫は非常に激しくなり、一部のマイナーはビットコインのマイニングだけでは生き残れなくなった。そうしたマイナーは人工知能(AI)コンピューティングに一部の業務をシフトすることを余儀なくされ、中には公開市場でビットコインを購入することを選択したマイナーもいた。

1ZH/sの環境では、マイナーはより創造的な方法で生き残りを図り、より困難になる市場に適応する必要がある。

[ビットコイン:1年間のハッシュレートの変化率(グラスノード)]

2日のX(旧Twitter)の投稿によると、実際にハッシュレートは既に単一ブロックでは1ZH/sに達している可能性がある。しかし、1ブロックの読み取りは、マイニングの確率的性質、ブロック時間の変動性、短期的なネットワークの変動により不正確だ。業界標準は通常、外れ値と信頼性を考慮して少なくとも7日間の移動平均を使用する。

増加しているのはハッシュレートだけでなく、マイニング難易度も上昇している。10月以降、ビットコインブロックチェーンは7回連続で難易度の上方調整を行っており、現在109.78テラ(兆)となっている。難易度は2016ブロックごとに調整され、10分ごとにブロックがマイニングされるように再調整される。ビットコインブロックチェーンで7回連続で上方調整が行われたのは、2021年に中国がマイニングを禁止し、ハッシュレートが50%低下した後以来だ。

しかし今回は、ハッシュレートと難易度が同時に上昇している。

[BTC:難易度調整の変化率(グラスノード)]

|翻訳・編集:林理南
|画像:Hashage
|原文:Bitcoin’s Computing Power May Hit a Major Milestone Long Before Next Halving