- ビットコイン(BTC)は4%以上下落し、イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)を含む主要アルトコインは6~9%下落した。
- この動きの背景には、予想を上回る力強い経済指標を受けて、米国債利回りが再び高水準を記録したことがある。
- 投資家は米連邦準備制度理事会(FRB)によるさらなる利下げへの期待を後退させ続け、現在では年内の利下げは1回のみと考えている。
米国の2つの経済指標が予想を上回り、デジタル資産の年初来の勢いに冷や水を浴びせた。暗号資産(仮想通貨)市場はつまずき、ビットコインは10万ドルの大台を割り込んだ。
米労働統計局が発表した11月の雇用動態調査(JOLTS)の求人件数は、予想に反して前月の780万件から810万件に増加し、770万件に減少するとのアナリスト予想をあっさり上回った。
同時に発表された12月のISM非製造業購買担当者景気指数(サービス部門の経済活動の水準を示す月次指標)は54.1と、予想の53.3を上回り、11月の52.1を大きく上回った。12月の仕入れ価格指数は64.4と、予想の57.5と前月の58.2に比べて、大きく上昇した。
どちらの指標も通常、市場をあまり動かさないが、2つの指標が合わさって、すでに動揺していた債券市場をさらに動揺させ、10年物米国債利回りはさらに5ベーシスポイント上昇し4.68%となり、数年来で最も高い数値まであと少しに迫った。この動きで米国株は下落し、ナスダックは1月7日午前中に1%以上、S&P500は0.4%下落した。
ビットコインは、欧州の7日午後まで10万1000ドルをわずかに下回って取引されていたが、米国の経済データ発表を受けて9万7800ドルまで下落し、前日の上昇分を失い、過去24時間では4%下落した。
主要アルトコインはさらに下落し、イーサリアムとソラナは6~7%下落、アバランチ(AVAX)とチェーンリンク(LINK)は8~9%下落した。
CoinGlassによると、暗号資産価格の急速な下落により、価格上昇に賭けていたデリバティブ市場全体で約3億ドル(約474億円、1ドル=158円換算)のロングポジションが清算され、今年最初の大規模なレバレッジフラッシュとなった。
堅調な経済データを受けて、投資家は2025年の利下げ観測をさらに後退させている。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchツールによると、市場参加者は1月のFRB会合で利下げが実施される可能性にすでに見切りをつけていたが、現在では3月の会合で緩和が実施される可能性もわずか37%とみており、1週間前の50%近くから低下している。さらに先を見ると、5月の利下げ確率も50%を大きく下回っている。
FXブローカー、バリンジャー・グループ(Ballinger Group)のカイル・チャップマン(Kyle Chapman)氏は、2025年全体を見渡すと、投資家は現在、年間を通じて25ベーシスポイントの利下げをおよそ1回しか価格に織り込んでいないと指摘した。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:1月7日のビットコイン価格(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Dips Below $98K as Strong U.S. Economic Data Leads to $300M of Crypto Liquidations