現実資産(RWA)。暗号資産(仮想通貨)ネイティブや機関投資家は現在、不動産、債券、株式、リミテッド・パートナーシップ・ユニット、その他の伝統的資産の所有権をオンチェーンで表現したものをこのように呼んでいる。
2024年を通じて、RWAのトークン化は以下のような重要な要因のおかげで人気が高まった。
- ブラックロック(BlackRock)が自社ファンドをトークン化し、トークン化企業に投資。
- 銀行や資産運用会社は、概念実証から実運用のユースケースへと移行。
- EUの「DLT Pilot Regime」の下での21X、スペイン初のERIRとしてのUrsus-3 Capital、アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)での野村ホールディングスの暗号資産子会社レーザー・デジタルなどのライセンス取得。
- 暗号資産ネイティブは、現実資産のオンチェーン移行の価値を理解し始めており、RWAは3番目に収益性の高い暗号資産分野である。
2025年には何が期待できるだろうか?トークン化がその地位を固め、普及曲線の「実用主義者」の部分に移行する年になるはずだ。すでに500億ドル(約7兆9000億円、1ドル=158円換算)以上のRWAがオンチェーン化されており、2025年には少なくとも5000億ドル(ステーブルコインを除く)に達すると予測されている。
担保の流動性、他のトークンに裏付けされた利回り付き資産(すなわち、ステーブルコイン/イールドコインやトークン化された流動性商品)、より複雑な金融商品、実績のある合理化されたオペレーションが、トークン化されたRWAの時価総額の成長を後押しするだろう。
時間の経過とともに、トークン化されていないものよりもトークン化されたものへの投資家の選好が高まり、さらなる普及と資金流入につながるはずだ。
不動産分野だけでも300億ドル以上の価値があり、HELOC(ホームエクイティ信用限度額)、オルタナティブファイナンス、担保ローン、オンチェーン権利、ファンドなどをトークン化することによる節約効果が実証されている。
規制の明確化
規制の明確化は依然として普及に向けた最も大きな障壁だが、2025年には大きな進展がもたらされる可能性がある。
ポール・アトキンス(Paul Atkins)氏が米証券取引委員会(SEC)委員長に任命され、ペリアン・ボーリング(Perianne Boring)氏が米商品先物取引委員会 (CFTC)委員長候補として浮上し、そしてデビッド・サックス(David Sacks)氏が人工知能(AI)・暗号資産責任者(Czar)に任命されたというニュースは、デジタル資産に関する米国の明確な法的枠組みの可能性を高めている。
これは、より大規模な機関投資家の参加を促し、投資家の信頼を高め、RWAのためのインフラにおける更なる技術革新に拍車をかけるだろう。
EU、スイス、シンガポールはすでに、より強力な規制、それがたとえサンドボックスであっても、世界的な機運をさらに高めることを示している。
RWAユーティリティ/ガバナンストークンを通じた暗号資産コミュニティの橋渡し
トークン化は、コスト削減と業務効率化により組織の注目を集めている。これは、テストと実運用の両方のユースケースで、オフチェーンの場合と比べて確認されている。
暗号資産の世界では、ガバナンストークンやユーティリティトークンが、非トークン保有者と比較した取引手数料の割引、ディールフローや意思決定への優先アクセスなどを保有者に与えている。
暗号資産コミュニティはこのようなトークンを活用しており、これらが暗号資産やNFTの利益をRWAに振り向け、RWAのためのdApp(分散型アプリ)/インフラの開発を促すことになるだろう。
さらに、米国で発行された暗号資産(ユーティリティトークン/ガバナンストークン)から得られる利益に対するトランプ政権による減税の可能性は、投資家や発行者が注視すべき点である。
2025年は、金融資産のトークン化がナラティブとしても用途としても成長するはずだ。大手銀行や資産運用会社が採用することで、目に見える成果が得られ、リスクカーブのより高いところで関連する試みを進める自信が生まれるだろう。
DeFiエコシステムの活用は、実用性を高め、新たな経済機会を可能にすることで、プライマリー市場とセカンダリー市場の両方を前進させ続けるだろう。
今年は、暗号資産ネイティブコミュニティと伝統的な金融との間の溝が狭まり始めるはずだ。トークン化はもはや未来の概念ではなく、今ここにあるもので、成長を続けるだろう。
この分野にこれまで注目していなかったとしたら、今がその時だ。州や連邦レベルでの戦略的ビットコイン準備金のようなその他の要因もあるが、その中でもとりわけ、規制の明確化、機関投資家への普及、そして実用性の向上が、指数関数的な成長と普及の起爆剤となるだろう。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:What 2025 Holds for Tokenized Real World Assets