- JPモルガンのレポートによると、EUの暗号資産(仮想通貨)市場法(MiCA)はユーロ連動型ステーブルコインに恩恵をもたらす可能性があるという。
- JPモルガンは、MiCAの下では、規制された市場で取引ペアとして使用できるのはMiCAに準拠したステーブルコインだけであると指摘した。
- テザー(Tether)社は、依然として世界のステーブルコイン市場で圧倒的な強さを誇っている、とJPモルガンは述べた。
昨年12月30日に施行されたEUのMiCA規制は、ユーロ連動型ステーブルコインを後押しするだろうと、JPモルガンは1月8日発表のリサーチレポートで述べた。
ニコラオス・パニギルツォグルー(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストらは、「MiCAの下では、規制された市場で取引ペアとして使用できるのはMiCAに準拠したステーブルコインだけであり、EUの取引所は提供する商品を調整するよう求められている」と指摘している。
この結果、サークル(Circle)のEURCのようなMiCAに準拠したステーブルコインが強さを増す一方、テザー(Tether)社のEURTのようなMiCAに準拠していないステーブルコインは困難に直面した、とJPモルガンは説明する。
ステーブルコインとは、安定した価値を維持するように設計された暗号資産(仮想通貨)の一種で、通常は米ドルにペッグされているが、他の通貨や金などの商品も使用されている。
EUの新しい規則MiCAでは、テザー社のようなステーブルコインの発行者は、ヨーロッパに拠点を置く銀行に多額の準備金を維持し、取引のためのライセンスを取得する必要があると、レポートは指摘した。
このため、テザー社はEURTステーブルコイン事業を打ち切り、EUに拠点を置く多くの取引所からのUSDTの上場廃止にもつながったと、JPモルガンは述べている。
テザー社は11月、ユーロ連動型ステーブルコインEURTを段階的に廃止すると発表。ユーザーはトークンを最大12カ月間、償還できる。
テザー社は、このような課題にもかかわらず、世界のステーブルコイン市場において「支配的な力」を維持しているとJPモルガンは述べ、規制の緩いアジア市場で同社のステーブルコインが広く利用されていると付け加えた。
テザー社がクアントス・ペイメント(Quantoz Payments)などのMiCA準拠のステーブルコイン発行会社に投資していることは、EUでの存在感を維持するというコミットメントを示している、とレポートは付け加えた。
テザー社は12月にも、欧州のステーブルコイン発行会社StablRに投資したと発表している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:EU’s MiCA Rules Will Likely Boost Euro Denominated Stablecoins, JPMorgan Says