ソニーグループが手がけるイーサリアムレイヤー2「Soneium(ソニューム)」のメインネットローンチを1月14日、Sony Block Solutions Labs(Sony BSL)が発表した。Sony BSLは、ソニーグループとStartale Group(以下、スターテイル)の合弁会社だ。
Soneiumは2024年8月にその構想が発表されて以来、国内外から大きな関心を集めてきた。「世界のソニー」がWeb3で何を行うのか? 既存のゲーム事業や金融事業との融合は? など世界中が注目している。
8月の発表時にSony BSLのチェアマン、渡辺潤氏は「ソニーグループは、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。』というパーパス(存在意義)のもと、多種多様な事業を展開しており、ブロックチェーンをベースとした包括的なWeb3ソリューションの開発は、ソニーグループにとって非常に意義深いと考えている」と述べていた。
今後数年はきわめて重要
14日に発表されたSony BSLのリリース(英文)には「ブロックチェーン技術の登場から16年、無数のイノベーションが登場している。9ページのホワイトペーパーから始まったものが、グローバルな現象に成長し、今ではオンチェーン・ユニークアドレスは月間2億2000万以上にのぼる」と記されている。
さらに「今はまだ初期段階であり、現在の分散型インターネットの状況は、1990年代後半を思い起こさせる。当時は、興奮と未知の可能性にあふれていた。今後数年は、未来を形作ることに情熱を注ぐ人たちにとって、きわめて重要になる」と述べている。
Soneiumは、イーサリアムレイヤー2「Optimism(オプティミズム)」が提供する技術フレームワーク「OP Stack」を使って構築されている。
「Optimism Foundation(オプティミズム財団)が開発したOP StackとSuperchain(スーパーチェーン)を活用することで、個人やコミュニティが協力し、創造し、デジタル空間にエモーションをもたらすことを可能にするパブリックブロックチェーンを提供する」(リリースより)
Superchainは、Optimism Foundationが提唱する、OP Stackで構築されたレイヤー2を包含する広範なエコシステムのことだ。
2つの具体的な取り組み
さらにリリースは、テストネットでの結果に触れつつ、「1400万を超えるアクティブウォレットと4700万件のトランザクションは、優れたクリエーターツールへの渇望を示している」と述べている。そして、UX(ユーザー体験)の向上、アクセシビリティの改善、Web技術の普及を促進する多様なユースケースをサポートするために「ソニーグループは、他のWeb3ソリューションの開発にも取り組んでいる」と続けた。
Soneiumの具体的な取り組みは、ファン・エンゲージメントと暗号資産取引からスタートするという。
ファンエンゲージメント
ソニーグループが100%出資するSNFTは2024年2月、NFTを活用したファンマーケティングプラットフォームを発表、現在はSoneiumに統合されている。リリースは「NFT配布を詳細なデータ分析と統合することで、マーケティング戦略を最適化するとともに、ファンやブランドに具体的な価値を提供する」と記している。
暗号資産取引
暗号資産取引サービスのS.BOXは「クリエーターやブランドに新たな可能性を切り開き、エコシステム全体のイノベーションを推進する」。インキュベーションプログラム「Soneium Spark(ソニューム・スパーク)」には、クリエーターや開発者から1785件の応募があり、ゲーム、NFT、ソーシャル、金融などのアプリがすでにローンチされているという。
「各プロジェクトは、クリエイティビティがオンチェーンと出会ったときの可能性の限界を押し広げている」(リリースより)
また同日、渡辺創太氏率いるスターテイルと、スターテイルが手がけるブロックチェーン「ASTAR(アスター)」も関連したリリースを発表している。
Sony BSL、スターテイル、アスターのリリースを見る限り、まだPlayStation 5に代表される既存のゲーム事業、ソニー銀行やソニー生命などの金融事業、映画や音楽、源流となるエレクトロニクス製品などでの具体的な取り組みは明らかにされていない。
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|文:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:リリースより
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