中国インターネット大手のテンセント(Tencent)は香港証券先物委員会(Securities and Futures Commission:SFC)の承認を受け、ブロックチェーンベースの仮想銀行(virtual bank)をオープンする予定だ。
2019年11月8日(現地時間)、テンセントのブロックチェーン・チーフのYige Cai氏は中国・烏鎮(うちん)で開催された世界ブロックチェーンサミット(World Blockchain Summit)で、テンセントの仮想銀行はSFCからゴーサインをもらったと語った。今後、同社はブロックチェーンベースの銀行プラットフォームをサポートするチームを編成する。中国ウェブメディア、新浪財経(Sina Finance)が伝えた。
「香港の新しいデジタル資産取引への規制と監督は、ブロックチェーン技術とデジタル資産の重要性を証明するもので、業界全体にとって朗報」とCai氏はサミットのスピーチで述べた。
SFCは現在まで、仮想銀行のライセンスを12の事業者に与えている。テンセントと中国工商銀行(Industrial and Commercial Bank of China:ICBC)、および香港の2つの機関投資家による合弁会社のインフィニアム(Infinium Limited)も含まれている。
テンセントは2019年5月にライセンスを受けた後、7月にインフィニアムをフュージョン・バンク(Fusion Bank)に名称変更した。
報道によると、Cai氏は仮想銀行の詳細は明らかにしなかったが、マクドナルド(McDonald)へのサプライチェーン・ファイナンス(サプライチェーン全体の金融コストを下げる取り組み)の提供を含む、テンセントの既存のブロックチェーン・プロジェクトをアピールした。
別の報道によると、Cai氏は現在、テンセントの3つのブロックチェーン開発グループのうち、コンソーシアム・ブロックチェーングループを率いている。他の2つは、ブロックチェーン・インフラとブロックチェーンベースのクラウドサービスに関するものだ。
仮想銀行のライセンスを受けた他の企業にはアリババ(Alibaba)のフィンテック部門のアント・ファイナンシャル(Ant Financial)、SCデジタルソリューション(SC Digital Solutions Limited)などがあり、後者はスタンダードチャータード銀行(Standard Chartered)が株式の65%を保有している。
11月6日、SFCは仮装資産取引を規制する新たなライセンスシステムの詳細を公開し、証券ブローカーを監視するものと同様のフレームワークを作成した。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Tencent image via testing / Shutterstock
原文:Tencent to Build Virtual Bank After Hong Kong Regulator Approves License