ブラックロックのビットコインETFオプションの建玉が110億ドルに
  • IBITのオプションの想定建玉は1月13日に110億ドルに達した。
  • これはデリビットのBTCオプションの想定建玉230億ドルのほぼ50%に相当する。
  • IBITオプションは事業に悪影響を及ぼしていないとデリビットのCEOは述べている。

規制された暗号資産(仮想通貨)商品のアメリカでの需要の高まりは現実のものとなっている。

11月19日にデビューしたブラックロック(BlackRock)のビットコイン(BTC)現物ETF(上場投資信託)であるIBITに連動するアメリカの証券取引委員会(SEC)が承認したオプションは、デリバティブ取引所であるデリビット(Deribit)に8年前からあるビットコインオプション市場のほぼ半分の規模となった。

optioncharts.ioのデータによると、1月13日には216万のIBITオプション契約がオープンまたはアクティブとなっており、想定建玉は110億ドル(約1兆7050億円、1ドル=155円換算)に達した。この金額は契約数をETFの価格とロットサイズ100で乗算することで算出される。

これはデリビットの未決済BTCオプションにロックされた230億ドル(約3兆5650億円)の約50%に相当する。デリットのオプションの1契約は1BTCに相当する。

オプションとは、購入者に後日、あらかじめ設定された価格で原資産を売買する権利を与えるデリバティブ契約だ。コールは購入する権利を、プットは売却する権利を提供する。

従来の市場と同様に、トレーダーは暗号資産オプションを活用して、価格の動き、ボラティリティ、時間経過の影響(シータと呼ばれる)を予測したり、ヘッジしたりしている。

デリビットは長年にわたり業界をリードする地位を維持しており、トレーダーや投資家は同取引所のビットコインおよびイーサリアム(ETH)のオプションを利用して、複雑な方向性と非方向性の戦略を立てている。しかし、同取引所がオフショアであるため、アメリカを拠点とする投資家は規制された手段を求めていた。IBITオプションは、このギャップを埋めるために登場した。

「ブラックロックのビットコイン現物ETFを原資産とするIBITオプションは、機関投資家だけでなく、規制市場を好むアメリカの個人トレーダーにも魅力的だ。この急速に拡大するセグメントは、IBITオプションに対する需要の高まりを明らかに示している」と暗号資産デリバティブ商品プロトコルのVolmex FinanceはCoinDeskに電子メールで述べた。

Volmexは、IBITオプションの人気が高まっていることで、暗号資産オプション市場におけるデリビットの優位性が脅かされていると付け加えた。しかし、デリビットのルーク・ストライジャース(Luuk Strijers)CEOは、IBITオプションは業界にポジティブな波及効果をもたらしていると述べた。

「IBITオプションは主にアメリカの個人投資家によって取引されており、このセグメントはこれまでデリビットを利用できなかった。そのため、IBITオプションの稼働が弊社の市場活動に悪影響を及ぼすことはない。むしろ、デリビットがリスクとボラティリティのグローバルな保管場所としての役割を継続する中で、機関投資家に新たな裁定機会をもたらし、リスク軽減戦略の強化を促進することで、ポジティブな効果を生み出している」とストライジャース氏はCoinDeskに語っている。

ストライジャース氏は、IBITオプションの取引は短期オプションに集中しており、プレミアム(価格)の低いオプションへの需要を示していると説明した。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Options Tied to BlackRock’s Bitcoin ETF Surge to Nearly 50% of Deribit’s BTC Open Interest in Two Months