オンチェーン犯罪は多様化・専門化──不正取引高は記録的なレベルに:チェイナリシス

ブロックチェーン分析企業のChainalysis(チェイナリシス)は1月15日に「The Chainalysis 2025 Crypto Crime Report」の概要パートを発表、2024年は暗号資産(仮想通貨)犯罪の多角化・専門化がますます進んだと述べた。

「オンチェーンでの不正行為は、以前はサイバー犯罪が中心でしたが、現在では国家安全保障から消費者保護に至るまで、あらゆる脅威の資金調達や助長にも利用されています。暗号資産が広く受け入れられるようになるにつれ、オンチェーンでの不正活動も多様化しています」

[不正アドレスが受け取った暗号資産総額:Chainalysis]

同社の現時点での調査によると、2024年に不正な暗号資産アドレスが受け取った金額は前年より減少して、409億ドル(約6兆3800億円、1ドル156円換算)という。ただし、この数字は現時点までに確認されたものであり、今後の調査により、2024年の不正取引高は記録的なレベルになり、510億ドルの超える可能性があるとしている。

概要パートのキーポイントは以下のとおり。

  • 盗まれた資金は前年比で約21%増の22億ドル(約3400億円)。2024年に盗まれた暗号資産のうち、秘密鍵の侵害が最も大きな割合(43.8%)を占めた。

2024年5月、暗号資産取引所DMMビットコインから約482億円相当のビットコイン(BTC)が流出した事件は、北朝鮮のハッカー集団による攻撃だったことが特定されている。

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  • ダークネットマーケットで取引された暗号資産は、2023年の23億ドル(約3600億円)近くから20億ドル(約3100億円)に減少。違法な商品やサービスを販売する詐欺ショップの取引高は2億2010万ドル(約343億7100万円)と2023年と比べて半分以上減少した。
  • 2024年に不正な暗号資産アドレスが受け取った409億ドルのうち、108億ドル(約1兆6800億円)はハッキングや恐喝、人身売買、詐欺などのサイバー犯罪を行ったサービスや個人のウォレットに送金されている。犯罪に必要なインフラやツールを販売することで、犯罪行為を助長している取引も含まれている。

|文・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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