ソニーSoneiumからIP保護の声明──ブラックリスト規制で波紋

ソニーグループが手がけるイーサリアムレイヤー2「Soneium(ソニューム)」は日本時間1月16日、「Soneium’s Philosophy for Responsible Innovation(責任あるイノベーションを目指すソニュームの哲学)」と題する英文ブログを公式ホームページで公開した。知的財産権(IP)の保護とクリエイターの権利を重視する姿勢を示すとともに、プラットフォームの利用規約やガバナンスについて詳細を明らかにした。

この発表は、1月14日のメインネットローンチ時に、同社やソニュームの商標を無断使用したミームコインをブラックリスト化し、取引制限を実施したことを受けたもの。

この措置により一部のユーザー資産へのアクセスが制限され、SNS上では規制の透明性や中央集権的な運営を懸念する声が上がっていた。イーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏も問題に言及するなど、Web3プラットフォームにおけるガバナンスの在り方を問う世界的な議論に発展した。

ソニュームは今回のブログで、IPの無断使用に対しては、ブロックチェーンとの通信を仲介するRPC(Remote Procedure Call)レベルでのブラックリスト化を実施する従来の方針を改めて示した。運用の透明性を確保するため、12時間程度の猶予期間を設定し、開発者との対話機会を確保する。ブラックリスト化の判断基準としては以下が示された。

  • 名前の使用禁止:アセット名、ティッカー、または画像は、他の企業、プロジェクト、キャラクター、または保護されたエンティティ (例:Sony)を参照することはできない。
  • 著作権で保護されたコンテンツの使用禁止:著作権で保護されている特定の画像、キャラクター、アーティスト、ゲーム、製品、その他の素材は、許可なく使用することはできない。

規制の範囲については、ブラックリスト化はRPCレベルでの制限にとどまり、ブロックチェーン自体への検閲は実施されない。また、ユーザー資産の凍結は行わず、他の手段でのアクセスは可能だという。

ソニュームは同時に、開発者からの懸念申し立てに対応する体制を整え、問題が解決された場合は速やかにブラックリストから解除する仕組みを導入するとしている。

さらに同社は、Web3界でIP侵害が一般化している現状にも触れ、ソニュームではそうした環境作りは目指さず、クリエイターの権利が確実に保護される健全なエコシステムの構築に注力すると強調した。

|文:栃山直樹
|画像:Soneiumウェブサイトから(キャプチャ)