SOLとXRPが急上昇──トランプ次期米大統領による戦略備蓄検討の報道を受けて
  • ソラナ(SOL)とエックス・アール・ピー(XRP)は1月16日、トランプ次期大統領が「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」の暗号資産(仮想通貨)戦略備蓄を支持する可能性を示唆する報道を受けて急騰した。
  • レッカー・キャピタル(Lekker Capital)のクイン・トンプソン(Quinn Thompson)氏は、この構想は「悪いアイデア」であり、政府はアルトコインにベンチャーキャピタル的な投資をすべきではないと述べた。
  • デジタル資産を 「国有化 」することは、ブロックチェーン分散化の取り組みを弱体化する可能性があると、イノベーティング・キャピタル(Innovating Capital)のアンソニー・ジョージアデス(Anthony Georgiades)氏は語った。

ドナルド・トランプ次期大統領の就任式を前に、ビットコイン戦略備蓄が暗号資産をめぐる議論の大部分を占めているが、トランプ氏は他のトークンについても考えているのだろうか?

ソラナ、エックス・アール・ピー、ヘデラ(HBAR)は、トランプ次期大統領がソラナ、エックス・アール・ピー、サークル(Circle)社のステーブルコインUSDコイン(USDC)を含むトークンの「アメリカ・ファーストな戦略備蓄」というアイデアに「理解を示した」というニューヨーク・ポストの報道のおかげもあり、16日に好調なパフォーマンスを見せたアルトコインである。

データソースCoinGeckoによると、SOLはこの報道を受けて8%以上急騰し217ドルとなり、XRPは今週の上昇を続け、2018年の史上最高値まであとわずかとなる3.35ドルを記録した。HBARは、テキサスに拠点を置く会社によって設立されたヘデラ・ハッシュグラフ(Hedera Hashgraph)ネットワークのネイティブトークンで、記事では言及されなかったが、10%以上上昇し、12月上旬以来の最高値を記録した。

その結果、広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexは過去24時間で5%上昇し、10万ドル目前まで上昇したビットコイン(BTC)の0.5%という値上がり幅を大きく上回った。

暗号資産投資家の間では、来週のトランプ大統領の就任式と、デジタル資産業界に焦点を当てた大統領令の就任初日での発表の可能性への期待が高まっている。

トランプ氏は選挙期間中、ビットコインの国家備蓄の創設を含め、米国を暗号資産分野のリーダーとして位置づけることを約束した。

また、シンシア・ルミス上院議員は7月、ビットコインの供給量の5%を取得することを提案するビットコイン法案を提出。米国のいくつかの州でも、ビットコイン備蓄を検討中、あるいはそのための法案を提出している。

早まるな

一部のトークン保有者は、政府がビットコイン以外の暗号資産を購入するというアイデアに歓喜しているかもしれないが、市場観測筋は懸念を示した。

ヘッジファンド、レッカー・キャピタルの創業者クイン・トンプソン氏は、Xの投稿で「これはバカげたアイデアで、絶対に実現しない」と述べた。

「アルトコインにベンチャーキャピタル的な賭けをするのは政府の仕事ではない」と、トンプソン氏はCoinDeskに語り、次のように続けた。

「ビットコイン以外のコインの戦略備蓄というこの噂は、悪いアイデアを、人々が事実として取り上げている例である」

投資会社イノベーティング・キャピタルのジェネラル・パートナーであるアンソニー・ジョージアデス氏は、米国ベースのイノベーションを促進することは「非常にポジティブ」であるが、「デジタル資産の国有化」はブロックチェーン経済を分散化する取り組みを弱体化する可能性があるとして、次のように述べた。

「現状では、十分かつ純粋に分散化したトークンはビットコインしかない。他のプロジェクトはすべて、そのレベルでの分散化という理念に向かう根本的な強さと力を持っている。デジタル資産の国有化は長期的に、そのような努力を損なうかもしれない」

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ドナルド・トランプ次期米大統領(Joseph Sohm/Shutterstock)
|原文:Solana, XRP Jump as Trump Reportedly Mulls ‘America-First’ Strategic Crypto Reserve, but Experts Suggest Otherwise