イーサリアム開発者たち、「ペクトラ」アップグレードの予定をついに発表

イーサリアムの開発者たちは、次の大きなアップグレード「ペクトラ(Pectra)」のスケジュールをついに発表した。このアップグレードは、2番目に大きなブロックチェーンであるイーサリアムにスピードと効率の改善をもたらすことを約束するものである。

1月16日にバーチャルで開催された開発者会議で、イーサリアムのコアチームは、アップグレードの目標リリース日を2025年3月に設定した。

ペクトラは8つの主要なアップグレード、すなわち「イーサリアム改善提案」(EIP)を1つにまとめたものである。

中でも最も期待されているアップグレードはEIP-7702で、ウォレットのユーザーエクスペリエンスの改善を目的としている。

このアップグレードは、イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏がわずか22分で概要をまとめたと言われており、ユーザーのウォレットをスマートコントラクトのようにプログラムできるようにする。

これは、ウォレットのセットアップと使用をより簡単にする一連の機能であるアカウントの抽象化をイーサリアムにもたらす、広範な戦略の一部である。

もうひとつの待望のアップグレードであるEIP-7251は、バリデーターがステーキングできるイーサリアムの最大数を32イーサリアムから2048イーサリアムに増加させる。

この変更は、チェーンを維持するためにイーサリアムをステーキングするバリデーターが直面する大きな不都合に対処するものである。現在、ネットワークに32より多くのイーサリアムをステーキングしたい場合、数十、時には数百の別々のノードにステーキングを分割しなければならないのだ。

これは単に負担が大きいだけでなく、新しいノードを立ち上げるのに何週間もかかることにもつながっている。

ペクトラは当初、イーサリアム最大のハードフォークとなる予定だった。そして2024年の「デンクン(Dencun)」アップグレード以来、初めてチェーンに大きな改良が加えられることになる。

ブロックチェーンのハードフォークとは要するに、ネットワークをまったく新しいチェーンに移行させる、とりわけ大規模なソフトウェアアップグレードの一種である。

ペクトラに含まれるアップグレードは、相変わらず重要ではあるが、以前のいくつかの計画より縮小されている。開発者たちは9月、ペクトラの以前の計画は野心的すぎると判断し、元のパッケージを2つに分割することで合意したのだ。

開発者は2月中、イーサリアムのSepoliaとHoleskyのテストネットワークでペクトラをテストする予定だ。すべてが順調に進めば、開発者は3月上旬か中旬にペクトラをメインネットに導入する予定である。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Ethereum Developers Finally Schedule ‘Pectra’ Upgrade