合同会社型DAOを活用した資金調達スキーム構築──小豆島の古民家を再生し、島全体を「分散型ホテル」に

自民党web3PTが2023年11月から12月にかけて開催した「DAOルールメイクハッカソン」を経て、翌2024年4月の法改正で法人格を持った合同会社型DAO(分散型自律組織)の設立と一定の制限はあるもののトークンの発行が可能になった。

不動産管理・売買、分散型ホテルの展開を目指して設立されたRe: Asset DAO合同会社は1月24日、「世界初の合同会社型DAOを活用した資金調達スキーム」を構築したと発表した。

第一弾プロジェクトとして、築100年以上の古民家を改修した一棟貸し宿「照季庵(しょうきあん)」を瀬戸内海・小豆島に2025年春にオープンする。

〈「照季庵」リビング〉

古民家は、日本の歴史や文化を象徴するものとして、インバウンド客にも人気があり、活用が模索されているが、老朽化や改修費用などが問題となっている。銀行融資はハードルが高い。

Re: Asset DAOは「従来の金融機関からの融資に依存せず、ブロックチェーン技術を活用した革新的な資金調達スキームを構築しました」とリリースに記している。

具体的には、日本DAO協会の代表で、弁護士の本嶋孔太郎氏監修のもと。社員権トークンを発行・販売し、少額からの投資を可能にすることで、資金調達のハードルを引き下げたという。

〈合同会社型DAOを活用した資金調達スキーム〉

本嶋氏は、大学卒業後に入所した東京の大手弁護士事務所を辞め、高松市に移り住み、古民家再生のみならず、広くDAOを使った地域創生・地域活性化に取り組んでいる。

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DAOによる資金調達のメリット

リリースに先立って開催されたオンライン説明会で本嶋氏は、資金調達にDAOを活用するメリットについて、不動産ファンドなどで使われるGK-TKスキームは金融商品取引法(金商法)や不動産特定共同事業法(不特法)などの専門家の力が必要になるが、地方にはそうした人材が少ないと指摘。「設立コストを低くして、誰でも資金調達にチャレンジできる」ことがDAOを活用する魅力と訴えた。

また社員権トークンの保有者は、DAOの運営に参加し、施設の改修方針や宿泊プランの決定といった事業運営に関する議決権を持つことができる。さらにリワードトークンが報酬として付与され、宿泊券NFTへの交換や、NFTマーケットなどで現金化も可能としている。

「照季庵」は4月に開業予定。同社は照季庵を第一弾として、小豆島内で他拠点展開を進め、島全体を “ひとつのホテル” として機能させる「分散型ホテル」構想を描いている。

本嶋氏は今回の取り組みについて「日本を中心に世界中の隠れた価値や資産を甦らせ、新たなエコシステムを作り、資本主義にチャレンジしていけるようなもの。社員権トークンを購入するところから仲間になってもらいたい」と述べていた。

|文:橋本祐樹
|編集:増田隆幸
|画像:小豆島のエンジェルロード(Shutterstock)