SOL、トランプミームコインが急落──トランプ大統領就任式の日に約1090億円の暗号資産ポジションが清算
  • ドナルド・トランプ大統領の就任宣誓が行われるなか、1月20日の暗号資産(仮想通貨)市場は揺れ動き、ソラナ(SOL)が過去最高値から10%近く下落し、アルトコインの値下がりを先導した。
  • 大統領とファーストレディが最近 「公式 」に発行したミームコインであるトランプ(TRUMP)とメラニア(MELANIA)は、投機的な性質に対する批判のなか、それぞれ30%と46%も急落した。
  • この乱高下により、レバレッジを効かせた暗号資産デリバティブのポジションが広範囲に清算され、1日を通してすべての資産で合計7億ドル(約1092億円、1ドル=156円換算)を超える清算が行われ、過去24時間では12億ドルを超えた。

ドナルド・トランプ大統領の就任式が行われた20日、最初の演説でトランプ大統領が暗号資産について言及しなかったため、興奮が失望に変わり、暗号資産市場は大きく変動した。

広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexは式典中に5%以上下落。ビットコイン(BTC)は10万6000ドルから10万1000ドルまで下落した後、10万3000ドル前後で落ち着いた。

週末のトランプ関連ミームコインをめぐる熱狂の中心にいたレイヤー1ネットワーク、ソラナのネイティブトークンSOLは、主要アルトコインの中でも最も大きく値下がりし、最近記録した史上最高値から10%近く下落した。

ソラナで17日にローンチされたドナルド・トランプ氏の公式ミームコインである「トランプ」は、トランプ氏の演説中に50ドルから30%急落。その後、ある程度回復したが、それでも高値からは約20%下落した。

「メラニア」はファーストレディであるメラニア・トランプ氏にちなんで名付けられたトークンで、「トランプ」の1日後にローンチ。こちらは46%も急落した後、少し回復した。

CoinGlassのデータによると、この乱高下でレバレッジを効かせた暗号資産ポジションも一斉に清算。20日を通じて取引所の全デジタル資産で7億ドル以上のデリバティブが清算された。清算されたポジションの約5億ドル分は、価格上昇に賭けたロングだった。

就任式前の一晩の売却を含めると、過去24時間の清算総額は12億ドルを超え、今年最大のレバレッジ一掃となった。

過去24時間の暗号資産ポジション清算(CoinGlass)

暗号資産業界では、長年にわたる規制の不確実性と取り締まりを経て、デジタル資産に対してより友好的な政策を見込み、トランプ氏の大統領就任への期待は計り知れないものがあった。

しかし、大統領就任のわずか数日前にトランプ氏関連のミームコインが登場したことで、暗号資産取引プラットフォームでは投機熱が高まり、業界内外の著名人が憤慨した。

暗号資産投資会社キャッスル・アイランド・ベンチャーズ(Castle Island Ventures)の創業パートナー、ニック・カーター(Nic Carter)氏は政治系メディアPoliticoに対し、「彼(トランプ氏)がこんなことをするなんて、まったくとんでもないことだ。ミームコインのローンチで、新たなる愚かさの深みに陥っている」

下院金融サービス委員会の民主党トップであるマキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)下院議員も、トークンローンチを非難し、次のように述べた。

「このミームコインは暗号資産の最悪の部分を象徴しており、多くの規制当局、支持者、政策立案者が長い間懸念してきた理由を浮き彫りにしている。トランプ大統領によるこのような行動は、正当性と、他の金融機関との公平な競争の場を求めて長い間戦ってきた暗号資産業界にさらに汚名を着せることになる」

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Solana, Trump Memecoins Tumble as Inauguration Day Brings $700M in Crypto Liquidations