ゲンスラー委員長がSECを去り、暗号資産に好意的なマーク・ウエダ氏が委員長代理に就任
  • 米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長が元委員長になった。暗号資産(仮想通貨)業界が待ち望んでいた瞬間であった。
  • ドナルド・トランプ大統領は、ポール・アトキンス(Paul Atkins)氏が上院の承認プロセスを通過するまで、マーク・ウエダ(Mark Uyeda)委員を委員長代理に選出した。

ドナルド・トランプ大統領が指名したポール・アトキンス氏が上院で承認されるのを待つ間、マーク・ウエダ委員がSECの運営を引き継ぐことになった。

ウエダ委員長代理は、同じ共和党のヘスター・ピアース(Hester Peirce)委員とともに、暗号資産業界に対するSECの取り締まりを緩和することを明確に支持しており、かつてSECの顧問としてアトキンス氏に仕えていた経歴も持つ。

1月20日にトランプ大統領が就任した数時間後に正式に指名されたアトキンス氏はSEC元委員で、ワシントンでコンサルティング業を営む中で暗号資産業界とのつながりを深めてきた。

ウエダ氏は、デジタル資産に関するSECの役割について自身の強い見解を表明してきた。銀行がデジタル資産関連の顧客を維持することを困難にした、「職員会計公報121(SAB121)」のような暗号資産を取り締まる動きに関して、SECの多数派を日常的に批判してきた。彼は、SAB121を撤廃することに賛成だと発言したことがあり、それも今では彼の権限の範囲内となっている。

マーク・ウエダSEC委員長代理(Jesse Hamilton/CoinDesk)

委員長の交代はまだ正式には発表されていないが、ヘスター・ピアース委員とキャロライン・クレンショー(Caroline Crenshaw)委員を含む残りの委員は、ゲーリー・ゲンスラー前委員長の退任について共同声明を発表した。

「私たちは委員として異なる視点から政策課題に取り組んできたが、その違いには常に尊厳があった」と、委員らは声明で述べ、次のように続けた。

「ゲンスラー委員長は、超党派の関与と敬意ある意見交換に尽力し、そのおかげで私たちはアメリカ国民へのサービスを円滑に行うことができた」

ゲンスラー氏は以前、トランプ氏が就任するのと同時刻の1月20日正午に辞任すると発表していた。

ゲンスラー氏は近年、暗号資産業界にとって政府内の敵となっていた。彼は執行措置を行い、物議を醸す暗号資産会計政策を推し進め、業界のビジネスモデルを脅かす厳しい規則案を支持し、一時は暗号資産現物ETF(上場投資信託)の誕生を阻止した。

ETFについては、裁判所の判決に余儀なくされる形で、ゲンスラー氏は最終的に共和党員のSEC委員と協力してETF誕生への道を開いた。

ゲンスラー氏指揮下のSECは法廷で、暗号資産を分類し規制するには既存の法律で十分だと主張した。このスタンスは一部の連邦判事には支持され、他の判事には反対されてきたが、その核心的な問題はまだ法廷で審議中である。

ウエダ氏の任期がいつまでであろうと、同氏が指揮するSECには、執行部や法律顧問部など、ゲンスラー氏の下で働いていた上級法務官僚はほぼ全員不在となる。

会長代理はSECの全権を握っているが、その立場にある者は次期委員長に委ねることを選択し、重大な決断を待つこともある。

SECの姉妹機関である商品先物取引委員会(CFTC)では、共和党のキャロライン・ファム(Caroline Pham)委員が委員長代理に昇格したが、トランプ大統領は民主党のロスティン・ベーナム(Rostin Behnam)委員長の後任をまだ指名していない。

現在2対2で党派が分かれているCFTCとは異なり、SECでは2対1で共和党が民主党を上回っている。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ゲーリー・ゲンスラーSEC元委員長(Jesse Hamilton/CoinDesk)
|原文:It’s Official: Gary Gensler Is Out at the SEC, and Crypto-Friendly Mark Uyeda Is In