アメリカの債務上限問題でビットコインは上昇するのか?
  • アメリカは1月21日(現地時間)に、およそ36兆ドルの債務上限に達する。
  • 米財務省は政府預金口座(TGA)の取り崩しを含む、異例の措置を実施する可能性がある。
  • これまでのTGAの取り崩しは、ビットコインを含むリスク資産を支えてきた。

いくつかの問題は決して完全に消えることはなく、政府が借り入れ可能な最大額を制限するアメリカの債務上限もその一つだ。この問題が再び注目を集めているが、過去の経験から、ビットコイン(BTC)やリスク資産全般にとってプラスになる可能性があることが示唆されている。

アメリカは1月21日(現地時間)に約36兆ドルの債務上限に達し、つまり、政府の運営資金を調達するために国民からこれ以上借り入れることができなくなる。

「債務上限は新たな支出を認可するものではないが、両党の議会と大統領が過去に負った既存の法的義務を連邦政府が賄えないリスクを生み出す」と、退任するジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は17日の公式発表で述べた。

世界最大の経済大国がこれ以上借り入れできないという考えは投資家を不安にさせるかもしれないが、デフォルトや政府機関の閉鎖が即座に起こるわけではないことに留意すべきだ。イエレン氏は、米財務省が21日から「異例の措置」を実施し、少なくとも3月14日まで時間を稼ぐだろうと述べた。

その措置のひとつとして考えられるのは、政府の運営口座である連邦準備銀行の政府預金口座(TGA)を取り崩すことだ。TGAは、政府の支払いを円滑に行う一方で、税金、関税、有価証券の売却益、公債収入を徴収するために使用される。

前回の2023年初頭の債務上限問題では、TGAを費用の支払いに充てたことで、ビットコインを含むリスク資産に好影響を与えた。

なぜなら、政府がTGA残高から支出する際、その現金は商業銀行にある請負業者、雇用主、その他のさまざまな事業体の銀行口座に振り込まれるからだ。これにより、商業銀行が保有する準備金の額が増える。準備金が増えれば、銀行はより多くのお金を貸し出すことができ、ひいてはより幅広い経済や金融市場での貸付や投資の増加につながる可能性がある。

20日の時点で、TGAの残高は6770億ドルだった。

[財務省一般会計の残高とビットコイン価格の比較。:MacroMicro]

このチャートは、過去5年間のTGA残高とビットコイン価格の推移を比較したものだ。

注目すべきは、TGAの減少はビットコインの急騰と頻繁に一致しており、両者の間に逆相関があることだ。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:U.S. to Hit Debt Ceiling on Tuesday. Will Bitcoin Soar or Suffer?