金融庁、暗号資産規制などの審議結果をまとめた報告書を公表

金融庁は1月22日、金融審議会「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」の報告書を公表した。同ワーキング・グループは、金融担当大臣からの諮問を受け、2024年9月から7回にわたる審議を実施してきた。報告書から、暗号資産(仮想通貨)および電子決済手段(ステーブルコイン)に関する内容を取り上げる。

報告書では、暗号資産交換業者や電子決済手段取引業者の破綻時に資産が国外へ流出するのを防ぐため、金融商品取引法を参考にした規定を資金決済法に導入することが提案されたと記されている。これは、2022年11月に発生したFTX破綻時の対応を基に検討されたものである。

また、暗号資産などの売買を仲介する新たな業態について、特定の暗号資産交換業者に所属して業務を行う「所属制」の導入が検討されたことが、報告書に記載されている。この仲介業者については、利用者の財産を預からないことを前提に、財産的基盤に関する参入規制やAML/CFT(マネーロンダリング防止およびテロ資金供与対策)義務を適用しない案が示されていた。

さらに報告書では、電子決済手段(ステーブルコイン)の一つである特定信託受益権の発行見合い金について、現行の要求払預貯金に加え、短期国債や一定の定期預金での運用について検討されたことが明記された。また、これら新たな運用対象資産の組み入れ比率については、上限を50%とする案が示されている。

[金融庁ホームページから]

本報告書は今後の金融審議会総会で取り上げられる。

|文:栃山直樹
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