イーサリアムのブテリン氏、大規模な指導部刷新中に反撃

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)にとって、この1年は厳しいものだった。この財団は、ビットコインに次いで最も知名度の高いブロックチェーンであるイーサリアムブロックチェーンを支えるのを支援する非営利団体で、助成金を提供している。イーサリアムが競合に時価総額とマインドシェアを奪われる中、同財団はスキャンダルに見舞われてきた。イーサリアムブロックチェーンの共同創設者であり主要な看板役であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、状況を立て直すための新たな計画を示した。

ブテリン氏はX(旧Twitter)への投稿で、「我々は確かに現在、イーサリアム財団の指導部構造に大きな変更を加えるプロセスの最中にあり、これは1年近く続いている」とし、「その一部はすでに実行・公表されており、一部はまだ進行中だ」と述べた。

変更の概要を示したXの投稿で、ブテリン氏は一連の目標を列挙した。その中には「イーサリアム財団指導部内の技術的専門性」の向上や財団が支援する「エコシステムのアクターとイーサリアム財団指導部との間の双方向のコミュニケーションや関係」の改善が含まれている。

ブテリン氏によると、こうした変更は同財団の中央集権化や企業化、政治化を目的としたものではない。同氏は、同財団が突然「規制当局や有力な政治家に対して積極的なロビー活動を始める」ことはないと語った。また「既得権益の舞台になったり、イーサリアムブロックチェーン内でさらに『主役』になったりすることもない」という。

この刷新は、開発者らの間でのイーサリアムブロックチェーンの評判がここ数カ月で悪化する中で行われている。より広範な暗号資産(仮想通貨)コミュニティのメンバーは、ソラナ(Solana)ブロックチェーンのような高速で安価な競合に殺到している。ソラナは最近のミームコインの熱狂を受け入れるのが早かった。

イーサリアムブロックチェーンが遅れをとっているのは、組織としてのビジョンが欠けているためだと指摘する声もある。イーサリアム財団は、イーサリアムブロックチェーンを「管理」しているわけではないが、この問題の解決に役立つことができたかもしれない。

過去12カ月間、同財団は論争の渦中にあった。非効率的であるという非難と、同時に力を持ちすぎているという非難に耐えてきた。利益相反のスキャンダルも事態をさらに悪化させた。民間企業から財団の職員への支払いが最近大きな反発を招き、同財団は方針の更新を余儀なくされた。

2018年から同財団のエグゼクティブ・ディレクターを務める宮口あや氏を、同財団の問題の原因だとする声もある。宮口氏の解任を求めて圧力をかける活動の中、ブテリン氏はイーサリアム財団の唯一の意思決定者として介入した。ブテリン氏はXで、「新しいイーサリアム財団の指導部チームを決定するのは私だ」と表明。「進行中の改革の目標の1つは、イーサリアム財団に『適切な理事会』を与えることだが、それが実現するまでは私だ」と述べた。

しかし、宮口氏は財団から追放されていない。ブテリン氏はXで宮口氏の批判者の一部を非難し、同氏を「スケープゴート」にしていると批判した。ブテリン氏は複数のツイートで、特に扇動的な特定のソーシャルメディアのコメント(死の脅迫や宮口氏へのさらなるいじめを明確に呼びかけるものなど)を取り上げ、そうしたコメントを「純粋な悪」と呼んだ。

ブテリン氏は、「『圧力をかけ続ける』なら、あなたがたは優秀な人材にとって積極的に有害な環境を作り出していることになる」と主張。「イーサリアムの最高の開発者の一部が最近私にメッセージを送ってきて、あなたがたのような人々が作り出しているソーシャルメディアの環境に嫌悪感を表明している。あなたがたは私の仕事をより困難にしているのだ」とコメントした。

|翻訳・編集:林理南
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|原文:Ethereum’s Vitalik Buterin Goes On Offense Amid Major Leadership Shake-up