ビットコインのハッシュ価格が1カ月ぶりの高値──マイナーにとって強気シグナル
  • マイナーのハッシュ価格が1PH/sにつき62ドルに達し、月間最高水準となった。
  • 11月以降、マイニング収益は365日単純移動平均を上回っており、これは歴史的に強気シグナルとされる。

ラクサー(Luxor)が考案したマイニングの収益性を測る指標であるハッシュ価格は、マイナーのビットコインネットワークのハッシュパワーへの推定寄与度に対する日次収入を推定するものだ。言い換えると、1日あたりで1TH/sのハッシュパワーからマイナーが期待できる価値のことだ。

グラスノード(Glassnode)によると、ハッシュ価格は1PH/sにつき62ドル(約9600円、1ドル155円換算)を超える水準で推移しており、12月中旬以来の最高水準に近い。

ハッシュ価格の上昇を牽引している要因は何だろうか。ビットコイン(BTC)は10万ドル(約1550万円)を大きく超えており、3カ月で56%上昇している。これによってマイナーは一息つくことができている。また、ビットコインネットワークでは最近マイナーの手数料がわずかに増加し、1日あたり約12BTCと1カ月以上のスパンで最高額となっている。この一因はネットワークのインスクリプション活動だ。

2024年4月の半減期によりマイニング報酬が半減したため、ハッシュ価格は1PH/sあたり約115ドルから低下していた。

半減期の結果、マイナーは昨年平均して株価上昇に苦戦した。2024年の大半の期間で、マイニング収益は365日単純移動平均(SMA)を下回っていた。11月以降ようやくこの移動平均を回復しており、これは歴史的に強気シグナルとされる。

[BTC:マイナー収益対年平均(Glassnode)]

コンセンサスアルゴリズムがPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のブロックチェーンでマイニングを行うための計算能力であるハッシュレートが最近過去最高を記録しており、その結果ネットワークの難易度も過去最高となった。マイナーが報酬を受け取るのが難しくなるため、マイニングの収益性を圧迫している。

ビットワイズ(Bitwise)の欧州リサーチ責任者であるアンドレ・ドラゴシュ(Andre Dragosch)氏はCoinDeskとの単独インタビューで、マイナーは昨年よりも健全な状態にあると述べた。

ドラゴシュ氏は、「1月初旬に過去最高を記録して以来、最近はネットワークのハッシュレートが低下しているのを目にしている。一方でビットコイン価格は上昇しており、全体のトランザクション(取引)数も再び増加している。これによりハッシュ価格が回復し、技術的にはマイナーがハッシュレートを引き続き増加させるインセンティブとなるはずだ」と説明した。

ドラゴシュ氏は、「全体として、年初以降ビットコインマイナーの保有量が継続的に増加していることから判断すると、ビットコインマイナーは十分な資本を持っているように見える。これは、マイナーが日々マイニングする量よりも少ない量を売却していることを意味する」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Glassnode
|原文:Bitcoin Hashprice Hits One Month Highs, A Bullish Signal for Miners