暗号資産(仮想通貨)の機関投資家への普及と中央集権型カストディのリスクに関する業界全体の議論は、セルフカストディへの関心が高まるきっかけとなるとOKXのプレジデント、ホン・ファン(Hong Fang)氏はCoinDeskとの最近のインタビューで語った。
機関投資家への普及や暗号資産ETF(上場投資信託)の人気上昇は業界にとって間違いなくポジティブだが、カストディの集中リスクへの警戒を促す方向に業界の論調が変わる可能性があるとファン氏は指摘した。同氏は2025年、暗号資産ネイティブユーザーのほとんどはセルフカストディを採用すると予測している。
OKXでは、同社が提供するセルフカストディウォレットで保有されている資産(約500億ドル)が、中央集権型取引所の資産(308億ドル)を上回っている。
「普及と集中リスクの間の緊張関係に注目が集まるだろう」と2月に開催されるConsensus香港に登壇するファン氏は述べた。
「こうした背景から、セルフカストディの重要性、使い方について業界全体で啓蒙活動が活発化し、一般ユーザー向けに多くの製品が登場してセルフカストディがより簡単になり、それに応じてリスクも軽減されると期待している」
ファン氏によると、OKX DEXの取引高は20倍に増加した。しかし同氏は、DEX(分散型取引所)と中央集権型取引所(CEX)は補完関係にあると主張した。
「暗号資産ネイティブなユーザーは、信頼性のためにCEXを、イノベーションをキャッチするためにDEXを利用したいと考えるだろう」とファン氏。
「こうした需要と供給のダイナミクスは、イノベーションを可能にするDEXの普及を促進しつつ、暗号資産の規制枠組みの段階的な成熟を支えるだろう」
ビットコイン戦略的準備金の可能性
トランプ新政権が推進する国家ビットコイン戦略的準備金は、ビットコインを中央集権化するものとなり得る。しかし、ブロックチェーンベースの賭けサイト、ポリメーカー(Polymarket)での賭けが示すように、暗号資産界隈の多くの人は、その実現性を疑っている。1月22日現在、トランプ大統領が政権発足後100日以内にビットコイン戦略的準備金を創設する可能性は30%となっている。
ファン氏はこのセンチメント(心理)に同意する。
「米国のようなメジャーな主権国家が、現段階で連邦レベルでビットコインを戦略的準備金に公式に採用することは、個人的に信じがたい。だが、小規模な主権国家ではあり得るだろう」
しかし暗号資産では、どんなことでも起こり得る。
きわめて望まれない出来事だが、トランプ政権が暗号資産に関する公約を履行しなければ、強気相場はすぐに冷え込む可能性があると同氏は述べた。しかし、最大のリスクは過度な集中化だという。
リスクに対する対応策が「セフルカストディ」だ。OKXによると、同社では急速に普及が進んでいる。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ホン・ファン氏(OKX)
|原文:OKX’s Hong Fang: 2025 Will Be a Year of Self-Custody