ディープシークが発端のビットコイン売りは買い場の機会:アナリスト
- スタンダードチャータードのジェフリー・ケンドリック氏は、暗号資産の売りは先週のトランプ氏の政策に対する過度な期待やナスダックの調整によるものだとし、ビットコインにとって最悪の状況は過ぎ去った可能性があると主張した。
- ロンドンクリプトクラブのアナリストらは、この下落は反射的な反応だとし、強力なマクロ的ファンダメンタルズを伴うより広い視野での強気相場における局所的な安値と位置付けている。
- ビットコインは過去24時間で4%以上下落し、10万ドルを下回って推移している。一方、ナスダックはエヌビディアの15%下落に牽引され、3%下落した。
暗号資産(仮想通貨)は、一夜にして急激な下落を見せた。ディープシーク(DeepSeek)のより効率的な人工知能(AI)モデルが登場したことを受けて、エヌビディア(Nvidia)主導のテクノロジー株が急落したのと同時だった。
ビットコイン(BTC)は26日の高値10万5000ドル(約1628万円、1ドル155円換算)から9万8000ドルを下回るまで下落し、その後現在の10万ドル(約1550万円)弱の水準まで反発した。一部のアナリストはこれがさらに深い調整の始まりになる可能性があると警告している。
これとは逆の見方をしているのが、スタンダードチャータード(Standard Chartered)銀行のデジタル資産リサーチ担当グローバル責任者であるジェフリー・ケンドリック(Geoffrey Kendrick)氏だ。
ケンドリック氏は27日午前のレポートで押し目買いを推奨した。
ケンドリック氏は1週間前、トランプ氏の暗号資産に関する大統領令と戦略的準備金に対する過度に熱心な期待が市場に織り込まれているため、10~20%の調整の可能性があると警告していた。同氏は、一晩の売りでこの多くが解消された可能性が高いと主張した。
今週はアメリカの大手テクノロジー企業が決算を発表し、米連邦準備制度理事会(FRB)の1月の会合結果が29日に発表されるため、今週これ以降にさらなる下落が発生する可能性がある。しかし、ケンドリック氏は米国債利回りの急激な低下(10年債利回りが現在4.5%に近づいている)に注目し、下落の多くが完了したことが示されていると指摘した。
トランプ政権のデジタル資産に関する行動は短期的な価格上昇をもたらさなかった。しかし、その恩恵は機関投資家の資金流入の増加を通じて、今後数週間から数カ月にわたってセクター全体に波及するはずだ。
ロンドンクリプトクラブ(LondonCryptoClub)のアナリストらも同様の見解を示し、暗号資産の売りを大きなイベントに対する反射的な反応だと見ている。
アナリストらは、「ディープシークのFUD(恐怖・不確実性・疑念)は典型的な『考える前に行動する』パターンだ」とし、「このような急激な下落は、依然として建設的なファンダメンタルのマクロストーリーの中で、通常強気トレンドにおける局所的な安値を示すものだ」と述べた。
アナリストらはさらに、「今日は注意が必要だ。広範なリスク回避は非常に機械的で無差別になる可能性がある」と警鐘を鳴らした。一方で、「これはまだ明らかに押し目買い市場だ」と指摘した。
本記事執筆時点で、ビットコインは過去24時間で4%以上下落し、9万9800ドルで推移している。テクノロジー株中心のナスダック100指数は、エヌビディアの15%下落が牽引して3%下落した。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Kelly Sikkema/Unsplash
|原文:Bitcoin’s DeepSeek-Triggered Selloff Is a Buy the Dip Opportunity, Analysts Say