FOMCは市場に大きな影響は与えない──パウエル議長のコメントは要注目
![FOMCは市場に大きな影響は与えない──パウエル議長のコメントは要注目](https://www.coindeskjapan.com/wp-content/uploads/2023/09/shutterstock_150954545-scaled-e1695802703388-768x512.jpg)
- フェデラルファンド金利の決定は、特に大きな影響を与えるものではない。
- しかし、大量の移民送還、シェルターインフレ、債務上限に関する質問に対するパウエル氏のコメントは、ビットコイン価格を動かす可能性がある。
2025年の最初のアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の会合は1月29日(現地時間)に終了し、金利決定は協定世界時(UTC)午後7時(日本時間30日午前4時)に発表される予定だ。その30分後に、ジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長の記者会見が予定されている。
FRBの現在の金利目標範囲は4.25%から4.5%で、9月以来、100ベーシスポイント低下している。12月の会合では25ベーシスポイントの利下げが実施されたが、それに伴う記者会見と予測で2025年の利下げはより緩やかになることが示唆され、ビットコイン(BTC)を含むリスク資産は下落した。
しかし、29日の会合は、政策立案者が12月のタカ派的なフォワードガイダンスを維持しながら金利を据え置くと予想されているため、暗号資産(仮想通貨)を含む市場にとっては大きな出来事ではないと見られている。
「今週のFOMCは、金利据え置きが12月に事前に十分に伝えられていたため、大きな市場の動きにはならないだろう。議事録によると、参加者はすでにドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の政策についていくつかの予備的な想定をしていたことが明らかになったが、かなりの不確実性があるため、パウエル氏は市場に強いガイダンスを与えることにためらいを感じるだろう」と28日の顧客宛てメモでダンスケ銀行(Danske Bank)は述べた。
とはいえ、パウエル氏は以下の主要な問題について質問を受ける可能性が高く、その回答は市場を動かす可能性がある。
不法移民の国外追放
トランプ大統領は選挙戦中の公約通り、すでに不法移民をアメリカから強制退去させる措置を講じており、週末には強制退去の航空便が出発した。推定によると、その総数は100万人から1000万人に上る可能性がある。
アナリストらは、大量の国外追放が労働市場を強化し、インフレに寄与すると予測している。パウエル氏も同様の見解を示した場合、利下げへの期待が後退し、リスク資産の下落につながる可能性がある。
「アメリカの労働力から100万人の潜在的な労働力が消えることは、決して小さなことではない。12月の雇用統計の強さを考慮すると、アメリカの労働供給の減少は、すでに引き締まりつつある兆候を見せ、完全雇用に近い失業率となっている労働市場にさらなる圧力を加えるだろう」と今月初め、ラボバンク(Rabobank)のシニア・マクロストラテジストであるベンジャミン・ピクトン(Benjamin Picton)氏は顧客向けのメモで述べた。
「それ自体がインフレ要因であり、減税や関税の追加的な影響を考慮する前段階でさえそうだ」とピクトン氏は付け加えた。
アメリカの債務上限
アメリカは先週、債務が自らに課した上限である36兆ドル(約5580兆円、1ドル=155円換算)に達し、政府機能を維持するための異例の措置を財務省が開始することになった。その措置のひとつとして、財務省一般口座(TGA)と呼ばれる政府当座預金口座の取り崩しが含まれている。
TGAの支出は通常、経済と市場の流動性状況を緩和し、リスクテイクを促進する。これは、FRBが現在進めている量的引き締め(バランスシートの正常化プロセス)の影響を相殺する可能性がある。
パウエル氏は同じ質問を受ける可能性があり、TGAの支出がシステムに流動性を追加する一方で、ハト派的な発言を避けるように見えるかもしれない。その場合、リスク資産の上昇は当面は抑えられるだろう。
賃貸料インフレ
この先行指標は、消費者物価指数(CPI)に過大な影響を与える住宅費インフレの緩和を示している。
「労働省の『全入居者家賃』指数は、消費者物価指数における住宅費インフレに先行するもので、前期ははるかに緩やかなペースで上昇した。第4四半期終了の4四半期間では3.2%の上昇だった(第3四半期は3.9%、1年前は5.5%)。これは2017年から2019年の平均3.1%に非常に近い」と、ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)のチーフ経済特派員ニック・ティマロス(Nick Timaros)氏は先週、Xに投稿した。
パウエル氏がシェルターインフレの先行指標におけるディスインフレ傾向を認めるのであれば、リスク資産は急騰する可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Essential Insights to Monitor During Wednesday’s ‘No Change’ Fed Meeting