富士通とヤマト、ブロックチェーン活用の共同輸配送システム稼働へ

富士通とヤマトホールディングス傘下のSustainable Shared Transport(SST)は2月1日から、ブロックチェーン技術を活用した荷主企業・物流事業者向けの共同輸配送システムの稼働を開始すると発表した。また、同日にSSTはオープンプラットフォームを活用した「SST便」の提供を開始する。

SSTは持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、2024年5月に設立された企業だ。同社が提供するSST便は、幹線輸送をベースとした共同輸配送サービスで、標準パレット輸送(リアル)と標準化された商流・物流情報の連携(デジタル)を組み合わせたオープンプラットフォームを特徴とする。富士通のデータ基盤「Fujitsu Unified Logistics」を活用し、荷主企業の出荷計画と物流事業者の運行計画から最適な輸配送計画を作成する。

[共同輸配送システムの配車予約管理画面イメージ]

同システムは、富士通のブロックチェーン技術とサイバーセキュリティの知見により、外部からの閲覧を防止し、データ変更のログを取得する。第三者からの改ざんに対して検知・対応・復旧を可能とする仕組みを実装した。

SSTは宮城県から福岡県間において1日16便の定期運行を提供する。標準パレットスペース単位で「定時運行」「中継輸送」「混載」による幹線輸送を展開し、地域の物流事業者と連携した域内配送も提供する。2026年3月末までには80線便への拡大を目指すとしている。

[幹線輸送の提供区間]

この取り組みは、2025年4月以降に施行される物流効率化に関する法改正への対応も視野に入れている。荷主企業は共同輸配送のパートナーを探す手間なく効率的な輸送を実現でき、物流事業者は復路の空車走行を減少させることで積載率と稼働率の向上が期待できるという。

|文:栃山直樹
|画像:Shutterstock