米の規制不足が証券トークン化の取り組みを阻害:ロビンフッドCEO
  • トークン化は、現在富裕層のみが利用できる私募市場投資の門戸を開く可能性がある。ロビンフッドのヴラド・テネフCEOが29日のワシントン・ポスト紙の寄稿で述べた。
  • 規制当局がトークン化された証券に関する明確なルールを提供しない限り、アメリカは他の資本市場に後れを取る可能性があると警告した。
  • 「世界はトークン化に向かっており、アメリカは取り残されるべきではない」と主張した。

現在のアメリカの規制は、トークン化を通じて一般投資家にプライベートマーケット(私募市場)投資の門戸を開く可能性のある大きな金融シフトを阻害している。デジタル証券会社ロビンフッド(Robinhood)のヴラド・テネフ(Vlad Tenev)CEOが指摘した。

テネフ氏は29日のワシントン・ポスト紙の寄稿で、オープンAI(OpenAI)、スペースX(SpaceX)、ストライプ(Stripe)などの多くの高成長企業が上場を避ける傾向が強まっており、これによって投資機会が富裕層投資家の小さな集団に限定され、一般投資家との投資格差が広がっていると述べた。

暗号資産(仮想通貨)市場の基盤となるブロックチェーン技術を通じて私募株式をトークン化することで、一般投資家が企業の成長段階の序盤にアクセスできるようになり、適切な情報開示と投資家保護を維持しながら参入障壁を下げることができるとテネフ氏は主張した。

同氏は、「世界はトークン化に向かっており、アメリカは取り残されるべきではない」とし、「暗号資産に関する議論を、ビットコインやミームコインから、ブロックチェーンが実際に可能にしているものへと更新する時が来た。つまり、今世紀にふさわしい超包括的でカスタマイズ可能な投資の新時代だ」と述べた。

しかし、アメリカの規制当局、特に証券取引委員会(SEC)は、証券トークンの登録に関する明確な枠組みやルールをまだ提供していない。一方で、欧州連合(EU)やシンガポール、アブダビなどの他の主要市場はすでにこの分野で進展があると同氏は指摘した。

同氏が提案したのは、IPO(新規株式公開)の代替として証券トークン登録の枠組みを作成すること、トークン化された資産に対応する取引所や証券会社に対して明確なガイドラインを提供すること、資金量ではなく金融知識に基づいてアクセスを認めるよう適格投資家ルールを更新することだ。

トークン化は、暗号資産と伝統的金融が交わる分野で急成長のセクターであり、マッキンゼー(McKinsey)やBCG、21シェアーズ(21Shares)、バーンスタイン(Bernstein)の予測によると、今後10年間で数兆ドル規模の市場になる可能性がある。機関や、政府でさえも、決済の迅速化と投資家のアクセス可能性の拡大を実現するために、債券やファンド、コモディティ(商品)、不動産などの現実資産(RWA)をブロックチェーン上にデジタルトークン形式で配置することを研究している。

テネフ氏は今回、トークン化を推奨し、トークン化された証券に関する明確なルールを求める金融界の著名なリーダーに加わった。10兆ドル(約1550兆円、1ドル155円換算)規模の資産を運用するブラックロック(BlackRock)のラリー・フィンク(Larry Fink)CEOは最近CNBCのインタビューで、トークン化は市場を変える次のフロンティアだと述べ、株式や債券のトークン化を「迅速に承認」するようSECに求めた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Robinhood CEO Warns Lack of U.S. Regulation Stifles Security Tokenization Efforts