ビットコインの長期保有者は引き続き売却──強気の兆しとアナリストが指摘
  • ビットコインを155日間以上保有した履歴のあるウォレットは、引き続きコインを売却している。これは強気相場だとアナリストは指摘する。
  • ビットコインの取引所残高は下落を続けており、供給危機を示唆している。しかし、このデータはETFのような代替投資手段によって歪められている。

株式市場の投資家たちが大切にしていた保有株を売却していると聞いたとしたら、あなたはそれを差し迫った市場の低迷の兆候と解釈する可能性が高いだろう。

しかし、暗号資産(仮想通貨)市場では異なり、このような売却は強気相場を示していると、長期投資家による供給量や、少なくとも155日間、つまり5カ月以上コインを保有しているウォレットの過去の傾向を観察しているアナリストは述べている。

「当社の分析によると、長期保有者による供給量(下図の紫色の線)の急激な減少は、2024年第1四半期と第4四半期に見られるように、ビットコインの大幅な上昇(白い線)と一致している。長期保有者が保有残高を減らし続ける限り、ビットコインはショートスクイーズによる上昇リスクにさらされたままだ」と、10xリサーチ(10x Research)の創設者であるマーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は、CoinDeskに共有したレポートで述べている。

[BTCの長期保有者による総供給量。:10x Research]
[BTCの長期保有者による総供給量。:10x Research]

これらのウォレットが保有する総供給量は、およそ1300万BTCに減少した。分析会社のGlassnodeによると、10万ドルを上回る最近の価格上昇の間に、100万BTC以上が取引されており、短期トレーダーが長期保有者の分配を買い占めているという。

「10万ドルを上回る最近の相場上昇では、110万BTCが長期保有者から短期保有者に移転しており、9万ドルを上回る価格でこの供給量を吸収する需要が大幅に流入していることを示している」と、Glassnodeは週次報告書で述べている

ただし、長期保有者が売却するペースが鈍化していることに注意してほしい。この鈍化は、長期保有者と短期保有者の供給比率の月間変化率から明らかです。今月初旬ほど有害ではなくなり、長期保有者の売却がより慎重に行われていることを示している。

[BTCの長期/短期保有者の供給比率の月間変動率。:Glassnode]
[BTCの長期/短期保有者の供給比率の月間変動率。:Glassnode]

取引所内の残高が減少

Glassnodeによると、中央集権型取引所に紐づくウォレットに保管されているBTCの数は、約6カ月前の300万BTC超から270万BTCに減少した。

取引所からBTCが流出した結果、即座に売却できるコインの数が減少したことは、強気相場を示す指標と広く見なされている。しかし、この力学は、アメリカで現物ETF(上場投資信託)がデビューした1年前から変化している。

「多くの人々は、これは個人投資家による大量のコインの引き出しによる供給ショックの一形態であり、価格上昇圧力につながる可能性があると解釈しているが、我々は、この減少の大半は、コインベース(Coinbase)のようなカストディアンが管理するETFのウォレットにコインが再振り分けされたことによるものだと考えている」とGlassnodeは述べた。

つまり、これらのコインはETFに集約されたということだ。ETFは流動性があり、実際のコインと同様に素早く売買できる代替投資手段だ。

Glassnodeによると、代替手段に移動されたコインを調整した取引所の残高は300万BTCを超える。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Long-Term Bitcoin Holders Are Spending Their BTC, A Bullish Signal, Analysts Say