テザー社、ステーブルコインのUSDTをビットコインとライトニングネットワークへ
  • テザー(Tether)社は、ビットコインネットワークとライトニングネットワーク上で時価総額1400億ドル(約22兆円、1ドル=154円換算)のステーブルコインUSDTをローンチし、ビットコインベースの金融エコシステムにおける役割の拡大を目指す。
  • ライトニング・ラボ(Lightning Labs)のタップルート・アセッツ(Taproot Assets)プロトコルによって可能になったこの統合は、ビットコインのベースレイヤー上でのUSDTの発行とライトニングネットワーク上での取引を可能にし、より高速で安価な決済を提供する。
  • テザー社の今回の動きは、主にイーサリアム、トロン、ソラナなどのスマートコントラクトプラットフォームで成功してきたステーブルコインにとっての転換となる。

テザー社は1月30日、時価総額1400億ドルで最大のステーブルコインであるUSDTを、時価総額最大かつ最初の暗号資産(仮想通貨)を支えるブロックチェーンであるビットコインと、ビットコインベースのスケーリングサービスであるライトニングネットワークに導入すると発表した。

テザー社のパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)CEOは、エルサルバドルの首都サンサルバドルで開催された「Plan B」カンファレンスで発表を行い、USDTをビットコインとライトニングに導入することで、「送金、決済、その他スピードと信頼性の両方が求められる金融アプリケーションに実用的なソリューション 」を提供することを目指すと述べた。

ステーブルコインは2000億ドル規模のデジタル資産クラスであり、その価格は主に米ドルなどの外部資産に連動している。政府発行の法定通貨とブロックチェーンベースのデジタル資産との橋渡しの役割を果たし、特に新興国では、支払い、貯蓄、送金などの日常的な用途で人気が高まっている。

ステーブルコインの利用はここ数年で急速に拡大しているが、活動や供給はイーサリアム、トロン、ソラナなどのスマートコントラクトプラットフォームに集中している。

USDTのビットコインとの統合を可能にしているのは、タップルート・アセッツというインフラであり、ビットコインのベースレイヤー上での資産発行と、高速で安価な取引に焦点を当てたスケーリングプラットフォームであるライトニングネットワーク上での送金を可能にし、マイクロペイメントをよりコスト効率の高いものにしている。

ライトニング・ラボによって開発され、昨年リリースされたこのプロトコルは、ビットコインのエコシステムにステーブルコインのような外部トークンを持ち込む道を開く。

ライトニングネットワークも手がけるライトニング・ラボのCEO、エリザベス・スターク(Elizabeth Stark)氏は、「何百万人もの人々が、最もオープンでセキュアなブロックチェーンを使って、グローバルにドルを送金できるようになる。USDTをビットコインに導入することで、ビットコインのセキュリティと分散化、そしてライトニングのスピードとスケーラビリティを組み合わせることができる」と語った。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Tether Brings Its $140B USDT Stablecoin to Bitcoin and Lightning Networks