イーサリアム「第2財団」が誕生するのか──組織再編への批判のなかで新たな選択肢

ステーキングプロトコルLido(リド)の創業者コンスタンティン・ロマシュク(Konstantin Lomashuk)氏は、イーサリアムエコシステムを発展させるための「第2財団」を設立する意向を示した。
イーサリアム共同創設者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は先日、イーサリアムの開発を支援する非営利団体Ethereum Foundation(EF:イーサリアム財団)の大規模な組織再編の概要を明らかにした。
ブテリン氏は、Xへの一連の投稿でその詳細を明らかにし、意思決定プロセスを合理化し、非効率性を解消すると述べた。
この発言は批判を呼び、一部では、再編プロセスにおけるブテリン氏の中心的役割は、分散化というイーサリアムの理念を損なうとの意見も出ている。
イーサリアム財団は、エコシステム内での中央集権化している影響力について、以前から厳しい批判にさらされている。この1年、Solana(ソラナ)のようなライバルが躍進するなか、財団はイーサリアムの将来について、より明確なビジョンを打ち出すよう求める圧力にさらされてきた。
また、財団は「ロールアップ中心」のロードマップについても批判されている。これは、イーサリアム上でより高速で安価な取引を可能にする「レイヤー2」ネットワークを優先するプランのことだ。
レイヤー2は、イーサリアムの処理能力を向上させているが、セキュリティの低下や基本取引手数料の大幅な減少など、マイナス面の可能性に対する懸念も生まれている。
「第2財団」というアイデア
リドのロマシュク氏は以前にも、財団の方向性について懸念を表明していたが、12月、Xへの投稿で「第2財団」という考え方をほのめかした。
このアイデアは、エコシステム内に競争を生み出し、コミュニティに選択肢を与えることにある。ロマシュク氏は「イーサリアム財団は非常にディープで、長期のリサーチを積み重ねない限り、外部の人間が貢献することはほぼ不可能だ。競争がなければ、正しい道を見失う危険性がある」と述べた。
1月22日、同氏はXに「第2財団」のアカウントを共有する投稿を行った。
CoinDeskはロマシュク氏にコメントを求めたが、当記事執筆時点までには返答はなかった。だが同氏と親しい著名なイーサリアム開発者マーティン・ケッペルマン(Martin Köppelmann)氏は、CoinDeskに対して「第2財団」の提案は本物だと語った。
「彼は確かに真剣に考えている」とケッペルマン氏。
「もちろん、ゴールは同じアイデアを持つ人なら誰でも参加できることだ。つまり、イーサリアムはより良く、より速くスケールする必要がある」
Lidoの影響力への懸念も
ロマシュク氏が創設したLidoは、ユーザーが暗号資産イーサリアム(ETH)を預け入れることで、ステーキングメカニズムに参加できるようにする。ステーキングはイーサリアムのガバナンスにおけるパワーと相関関係にあり、Lidoはエコシステムにおいてきわめて重要な存在となっている。現在、LidoはステーキングされたETHの約28%を占めており、ネットワーク最大のバリデーターとなっている。
Lidoに加え、ロマシュク氏は、イーサリアムのバリデーター向けにインフラを提供する企業P2P Validator、さらにはベンチャーキャピタルのcyber.FundをLidoの共同創業者と立ち上げている。
同氏の影響力の拡大は、イーサリアムが進化を続けるなかで「第2財団」は既存のイーサリアム財団との間に、どのようなダイナミクスを生み出すのかとの懸念が生じている。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Lido Co-Founder Teases ‘Second Foundation’ for Ethereum Amid Community Backlash