トランプ・メディア、ビットコインETFローンチヘ

- トランプ米大統領のメディア企業が、ビットコイン価格に連動するものを含むETFのローンチに向けて動き出している。
- 同社は今年中に商品を展開する予定だという。
- ファンドはトランプ氏のブランド「Truth.Fi」のもとで発売される。
ドナルド・トランプ米大統領のメディア企業であるトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(Trump Media and Technology Group)が、ビットコイン(BTC)価格に連動するものを含むETF(上場投資信託)を立ち上げる動きを見せていることが、2月6日の発表で明らかになった。
ETFは、今のところ合計3本で、他に計画されている商品と合わせて、トランプ大統領の「Truth.Fi」ブランドで発売される。例えば、ビットコインに特化したファンドは、「Truth.Fi Bitcoin Plus ETF」という名称になる。他の2つのファンドは、「Truth.Fi Made in America ETF」と「Truth.Fi Energy Independence ETF」である。
発表によると、トランプ・メディアは今年中にこれらの商品をローンチする予定だが、時期についての詳細は明らかにしていない。
米証券取引委員会(SEC)は、これらの商品が申請されれば、審査と承認を行うことになる。トランプ大統領は、1月の大統領就任時に退任したゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏の後任として、ポール・アトキンス(Paul Atkins)氏をSECの新委員長に指名した。
トランプ・メディアのCEO兼会長であるデビン・ヌネス(Devin Nunes)氏は声明の中で、「私たちは投資家に、市場全体に見られるような、ウォークなファンドやデバンキングの問題に代わる競争力のある選択肢を提供する、アメリカのエネルギー、製造業、その他の企業への投資手段を提供することを目的としている。ビットコインに関する戦略も含め、商品を差別化する様々な方法を模索している」と述べた。
ウォーク:「目覚めた」という意味の言葉で、人種差別の撤廃、ジェンダー平等、LGBTQ+の権利、環境保護といった社会的正義を追求する動きを指すが、米国ではその行き過ぎを揶揄する言葉として使われることが増えている。投資の分野では、ESG投資と深く結びついており、経済的利益のために社会正義へのコミットメントを宣伝する「社会正義に目覚めた資本主義(woke capitalism)」と批判する声も上がっている。
デバンキング:口座保有者が銀行に財務的、法的、規制的、評判上のリスクをもたらすと判断した銀行が、個人や組織の銀行口座を強制的に閉鎖すること。
トランプ・メディアの新しいファンドはチャールズ・シュワブによって管理され、ニュージャージーに拠点を置くヨークビル・アドバイザーズ(Yorkville Advisors)が投資顧問を務める。
米国では、2024年1月に複数のビットコイン現物ETFがローンチされ、瞬く間に様々な個人投資家や機関投資家から数十億ドルの資金を集めた。
ブラックロック(BlackRock)のiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)は、初年度に523億ドル(約7兆9000億円、1ドル=151円換算)相当以上の資産を集め(大量の資金流入とビットコイン価格の急騰が重なった)、米国のETF史上最も成功したETFのローンチとなった。
ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス(Eric Balchunas)氏によると、トランプ・メディアのビットコインETFは同じような牽引力はないだろうが、それでも意義はあるという。
「トランプ大統領のブランドにもかかわらず、これらはIBIT、FBTC(フィデリティが手がけるビットコインETF)などと比較して、資産収集において微々たるものになる可能性が高い。とはいえ、彼らがビットコインETFをローンチするという事実だけでも、メインストリーム化のナラティブを強化するもので、それは重要である」と、バルチュナス氏はXへの投稿で指摘している。
|翻訳・編集:山口晶子
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|原文:Trump’s Social Media Company Takes Steps To Launch Bitcoin ETF