分散型AIのチャンスは「ビットコインより大きい」:DCGのバリー・シルバートCEO

- デジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group:DCG)のバリー・シルバート(Barry Silbert)CEOは、分散型AIは 「暗号資産の次なる大きな時代 」だと語った。
- デジタル・カレンシー・グループは10以上の分散型AI(deAI)プロジェクトに1億500万ドル(約159億円、1ドル=151円換算)以上を注ぎ込んでいると、シルバート氏は語った。
暗号資産投資界の大物バリー・シルバート氏は、分散型AIに大きく賭けており、ビットコインよりも大きくなる可能性を秘めた「暗号資産の次なる大きな時代」と呼んでいる。
自身がCEOを務める暗号資産(仮想通貨)複合企業デジタル・カレンシー・グループの株主に宛てた書簡の中で、シルバート氏はdeAI、つまりAIのイノベーションとブロックチェーン技術を融合させるという暗号資産業界の取り組みに強気の姿勢を見せた。
シルバート氏は、この技術のマッシュアップは、OpenAIや他の大手企業によって開発されている閉鎖的なシステムよりも、人類により大きな恩恵をもたらすかもしれないと考えている。
「我々は、資産のデジタルな所有から、知性の分散型所有と膨大な分散型計算リソースの利用可能性へと移行している」と、シルバート氏は語っている。
このことはシルバート氏に、最も有名で圧倒的に大きな暗号資産であり、同氏が暗号資産界で最初に財を成すことを可能にしたビットコインを思い起こさせた。
しかし、deAIはマネー革命ではなく、強力なAIモデルの所有権とガバナンスを分配するメカニズムとしての暗号資産によるパワー革命の先駆けとなるかもしれない。
DCGは確かにそう考えている。同社はすでに1億500万ドルを10以上のdeAIプロジェクトに投資しており、「2025年にはさらに投資を増やすことにワクワクしている」と、シルバート氏は述べている。
シルバート氏は、機械学習とAIアプリケーションに特化した暗号資産ネットワークBittensorを、「脱出速度(自律的な成長段階に移行するために必要な最低速度)」に最も近い投資先企業として強調した。BittensorのTAOトークンはビットコインと多くの類似点を持っていると、シルバート氏は指摘している。
注目すべきことに、ビットコインの評価額が約2兆ドルなのに対して、TAOの時価総額は27億ドルもある。
DCGはBittensorのエコシステムをサポートするために多大な投資を計画している。シルバート氏は、11月にBittensorのインフラプロジェクトをインキュベートするYumaという会社を設立したことを指摘した。
また、同じくDCG傘下のグレイスケール(Grayscale)社は、TAOへのエクスポージャーを与える投資商品を提供している。
シルバート氏の今回の書簡は2024年第4四半期のもので、同社の融資事業であるジェネシス(Genesis)を崩壊させたFTXの破綻に端を発した、DCGの「再建」の1年を締めくくるものだった。DCG傘下の5つの組織はすべて、「2024年は成功した」とシルバート氏は語る。
「ここ2、3年で必要とされた規律は、強化されたインフラとより成熟したプロセス、改善されたガバナンス、そして成長イニシアチブの実行に焦点を当てたより強力な組織をもたらした」と、シルバート氏は述べている。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:バリー・シルバート氏(CoinDesk archives)
|原文:Decentralized AI Opportunity Is ‘Bigger than Bitcoin,’ Says DCG’s Barry Silbert