米ユタ州下院で公的資金の暗号資産への投資を認める法案が可決──他の州も追随の動き
  • ユタ州の公的資金を暗号資産投資に投入する法案は、上院と知事の承認という2つのステップを残すのみとなっており、他の州もこれに追随しようとしている。
  • メリーランド州の議員は、同州の戦略的ビットコイン準備金提案に飛びつき、ケンタッキー州も退職基金の一部を暗号資産に投資することを検討している州のリストに加わった。
  • 現在、22の州で法案が提出されており、提案について真剣に議論が行われたり、すでに暗号資産への投資が行われたりしている。

アメリカのユタ州が暗号資産(仮想通貨)への公的資金投資を認める法案を立法機関で可決した最初の州となったことを受け、今週はケンタッキー州とメリーランド州の2つの州の議員もこの動きに加わった。

連邦レベルでは、いわゆる「ビットコイン(BTC)戦略備蓄」に向けた共和党主導の取り組みと広く関連付けられているが、各州は独自の対策を講じており、州の資金を暗号資産に投資する方法については、州ごとに大きく異なっている。

ユタ州の財務長官が暗号資産に資金を投入することを認める同州の法案は、ユタ州下院で僅差の票決を乗り切り、2月7日に上院に提出された。この法案が上下両院を通過し、知事の署名により法律として成立すれば、公的資金をステーブルコインまたは時価総額5000億ドル(約75兆円、1ドル=150円換算)以上の暗号資産(現在はビットコインのみ)に投資することが認められることになる。

今週、メリーランド州で民主党のケイリン・ヤング(Caylin Young)州議員が提出した新たな法案は、シンシア・ルミス(Cynthia Lummis)連邦上院議員が構想しているものと同様に、ビットコインの戦略的備蓄を推進する内容となっている。メリーランド州では、この備蓄は賭博違反の取り締まりによる収益で賄われることになる。

ケンタッキー州でも今週、暗号資産のETF(上場投資信託)への投資を州退職基金に許可する2つの法案が提出された。この法案は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の利用にも障害をもたらすことになるだろう。

各州の法案のほとんどは、暗号資産に新たな税金を投入することを求めていない。

現在、15の州議会で法案が審議されており、他の州も追随することが予想される。また、ミシガン州とウィスコンシン州では、すでに退職基金の一部が暗号資産ETFに投資されている。州政府の関心の高まりは、主にドナルド・トランプ大統領の当選後、同大統領が暗号資産の戦略的備蓄に関心を示した後に発展した。

トランプ大統領は、政権内の暗号資産作業部会にアメリカの暗号資産備蓄の可能性について検討するように求める大統領令を出したが、戦略的なビットコイン備蓄を求めるには至っていない。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:As One State Gets Closer on a Crypto Reserve, Others Jump Into the Fray