ビットコインは米CPIの軟調により利益を得る可能性があるが、大幅な上昇は起こりそうにない
  • 1月のアメリカの消費者物価指数(CPI)は、インフレの進展が限定的であることを示すと予想されている。
  • 軟調な数値はリスク資産への買いを誘う可能性があるが、インフレ率の上昇は先行きの上昇余地が限定的であることを示唆している。
  • ブラックロックとRBCは、CPIがFRBの利下げに影響を与えることはないと予想している。

2月12日に発表されるアメリカのインフレ報告が穏やかな内容であれば、ビットコイン(BTC)などのリスク資産にとって良い兆しとなるだろう。しかし、強気の花火を期待している人々はがっかりするかもしれない。

12日の協定世界時(UTC)午後1時半(日本時間午後10時半)にアメリカ労働省が1月の消費者物価指数(CPI)を発表する。ロイターの予想によると、1月は前月比で0.3%上昇し、12月の0.4%上昇から鈍化すると見込まれている。年率換算の数値は12月の2.9%と一致すると予想されている。

変動の激しい食料品とエネルギーの要素を除外したコアCPIは、前月比で0.2%から0.3%に上昇し、年率換算では12月の3.2%から3.1%に減少すると予測されている。

特にコア数値が予想を下回る結果となったことで、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のさらなる利下げへの期待が高まり、アメリカの国債利回りの低下とドル指数(DXY)の下落につながり、最終的にはリスク資産への需要が高まる可能性がある。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールによると、市場では現在、FRBが今年中に金利を1回引き下げるか、あるいはまったく引き下げない可能性を54%と見込んでいる。

FRBの利下げ見通しがビットコイン価格を押し上げる可能性はあるものの、9万ドルから11万ドルの間の継続的な調整局面からの脱却の唯一の要因となる可能性は低い。

これは、貿易戦争への懸念が続く中、今後数カ月の間にインフレ率が上昇するという見通しを示す市場指標が存在するためであり、FRBが積極的な利下げを実施できる期間は限られている可能性があることを示唆している。

モット・キャピタル・マネジメント(Mott Capital Management)のデータによると、2年物インフレスワップは2.8%近くまで上昇しており、これは2023年初頭以来の高水準だ。5年物スワップも同様の傾向を示している。インフレスワップの上昇は、市場が将来的にインフレ率の上昇を予想していることを示しており、投資家はCPIに連動するスワップ契約を結ぶことで、潜在的な購買力低下から身を守るために高いプレミアムを支払うよう促されている。

つまり、これらの指標の継続的な上昇は、FRBの2%というインフレ目標に向けた進展が停滞していることを示しており、今後数年間は価格上昇圧力が強まる可能性が高い。おそらくその原因はトランプ大統領の関税措置だ。

さらに、一部の投資銀行は、1月のCPIの低調な数値はFRBがタカ派的な金利誘導方針を変更することにはつながらないだろうと見ている。2月11日に議会で行った証言でジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は、金利引き下げを急いでいないと述べた。

「インフレの進展が2025年中にFRBによる追加利下げを促すほど十分なものになるとは考えていない」とRBCの週刊メモは述べ、1月の報告では物価上昇圧力の緩和は限定的だろうと付け加えた。

ブラックロック(BlackRock)は、持続的なサービスインフレがFRBの利下げを妨げると述べている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin May See Gains from Soft U.S. CPI, Major Risk-On Surge in BTC Appears Unlikely