金融庁、暗号資産・ステーブルコインの規制見直しを本格化──交換業者に対する国内保有命令など
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栃山直樹

金融庁は、暗号資産(仮想通貨)やステーブルコインを含む送金・決済サービスの規制見直しに向けた具体的な取り組みを本格化させる。金融庁企画市場局の油布志行局長は2月12日の財務金融委員会で、先月まとめられた金融審議会作業部会の報告書に基づき、制度見直しを進める方針を明らかにした。
見直しの主な内容は、資金移動業者の破綻時における資金返還方法の多様化、国境をまたぐ収納代行サービスへの規制見直し、暗号資産交換業者等への資産国内保有命令の導入、信託型ステーブルコインの裏付け資産の柔軟化、暗号資産等の売買等の媒介を行う仲介業の創設などとなる。
日本維新の会の村上智信議員は同委員会で、2022年に破綻した暗号資産取引所FTXの事例に言及。FTXジャパンに預けられた日本の投資家の資産保護が懸念された経緯を踏まえ、資産の国内保有命令の導入を「日本の投資家を守るための前向きな規制」と評価した。
加藤勝信財務大臣は同委員会で、「今回の送金、決済サービスの見直しにあたっては、資金移動業や暗号資産等に関する制度の見直しを図ることとしている。デジタル技術の進展による新たな金融サービス・取引が広がる中、利用者保護を確保しつつ、健全な資金決済システムを構築していく」と述べた。
|文:栃山直樹
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