証券会社の東海東京証券を抱える東海東京フィナンシャル・ホールディングスは、シンガポールでセキュリティ・トークン(ST=デジタル化・トークン化した株式、債券、不動産などの証券)を対象にした取引所を運営するシンガポール企業に出資する。
東海東京は11月14日、シンガポール現地法人の東海東京グローバル・インベストメンツを通じて、ICHX TECH Pte.への出資契約を締結したと発表。出資額は500万ドル(約5億4000万円)で、株式の取得は2020年2月を予定している。
日本でもデジタル証券の仕組み構築に向けた動きが加速中
ブロックチェーンを基盤に、株式や債券、不動産などを裏付けとして、デジタル化した証券を発行、販売、流通する仕組みを構築する動きは、国内外で加速している。
日本では、野村ホールディングスが野村総合研究所と連携して、STの発行基盤の開発を進めている。一方、三菱UFJフィナンシャル・グループは同グループの信託銀行が中心に、国内外のパートナー企業とコンソーシアムを形成し、STの発行・管理・流通基盤の開発に着手した。
「発行体と投資家双方にメリットがある」
経営基盤の強化を図る東海東京は、セキュリティ・トークン取引が証券取引の決済期間を短縮し、24時間365日マーケットにアクセスすることを可能にし、発行体と投資家双方に大きなメリットがあるとして、今回の出資理由を説明。
ICHXは、シンガポールで「iSTOX」と呼ぶSTO取引所(STO:セキュリティ・トークン・オファリング=発行体がセキュリティ・トークンを発行して資金を調達する方法)を設立している。
文:佐藤茂
編集:濱田 優
写真:Shutterstock(シンガポールの高層ビル群)